【概 要】
荒谷山(631.3m)は広島市安佐南区上安町と安佐北区安佐町の町境に位置し、東西に走る二つの主稜線を持つユニークは山容です。北側稜線上に山頂三角点が、南側の稜線上には南峰(571m)があり、山頂と南峰を結ぶ形で吊り尾根状の登山路が走ります。里山とは云え南側から登ると標高差は600m近くあり登り甲斐があります。
眺望は南峰手前の展望岩と山頂直下で得られます。山頂では南側の一部が開ける程度ですが、適当な枝払いにより予想外の景観が得られました。
今回はあさひが丘展望台入口バス停で下車し、アストラムライン長楽寺駅に下るコースを選びました。
○登山口9:28〜山頂10:42
あさひが丘団地の展望台入口バス停で下車し県営住宅の間を登ると東に野登呂山、北に日裏権現山が近い距離に見えています。山すそに沿った舗装路を7分ほど歩くと送電線鉄塔の下に着きここが登山口となります。
服装調整後、鉄塔へ向けての急な階段を登り1分ほど進むと分岐です。左によい道が伸びていますがここは右に登ります。小さなテープと頭上の枝に古ぼけたプレートが架かるだけですから要注意です。
登山路はすぐシダの被る尾根の道となります。まもなく右手に悪名高い?入山禁止のテープが風になびいて身にまとわりつきだしますが、このテープは山頂直下まで続きます。前日の台風26号の強風により立ち枯れたマツの倒木も道をふさぎ迂回を余儀なくされます。登路はほとんど視界がありませんがときおり右側の木の間越に、くすの木台団地など久地方面が望めます。登り始めておおよそ50分ほどで左手が開けて武田山、火山から大茶臼山へと連なる広島南アルプスが望めます。続いて10分でもカガラ山が顔をのぞかせました。
最初の展望を得てから15分ほどで山頂直下の展望地に到着しました。南アルプスを前景にそして二ケ城山、松笠山、牛田山を中景にし、その奥に呉娑々宇山、絵下山、野呂山、灰ケ峰そして広島湾と江田島など素晴らしい景観が展開します。この展望地から3分で山頂です。
○山頂10:52〜不動院11:55
手製のプレートが架かかるだけの山頂は三等三角点の石柱も半ば土に埋もれていました。山頂は平坦ですが小スペースしか無く疎林に囲まれ展望もよくありません。それでも東南方向が切り開かれ山頂直下の展望地と同様の景観が少し高い位置から展開します。
景観を楽しみ小休止の後は下山です。山頂から急な道を下ると6分で東に展望が開けて、緑井の町を眼下に左手に権現山、右に武田山、中央に二ケ城山、呉娑々宇山が望めます。目の前のカヤ?でしょうか大木が印象的です。展望地からも下り坂は続き、この山の特徴である南北の二重尾根を結ぶ吊り尾根を進みます。両側が雑木で覆われていますが確実に細い尾根道です。
山頂から15分ほどで最低鞍部に達するとテープが賑やかに巻かれ右手に久地境原への道が分岐しています。緩やかな尾根道が登りになると鞍部から約7分で南峰です。山頂からは20分余りでした。
南峰は展望もなく三叉路の合流点、通過点でおおよそ山頂らしくありません。北は山頂への道、西方向には長楽寺登山口への道が延び、そして東から安佐動物公園・荻原峠からの比較的よさそう道が合流してます。
この先は緩やかに上下する尾根道と3分ほど進むと左に下山路が下ります。下山口にはテープとEと書かれたプレートが架かっていました。急な道を下ると左手が開けた展望岩に到着です。南峰から13分ほどでした。山すそを覆い尽くす団地群と南アルプスの全貌が見渡せるビュポイントです。このすぐ下にも岩があり同様の景観を楽しめます。
これから先は荒谷山最大の難所で、点在する岩の間を縫っての急斜面は落ち葉も堆積し試練の道が続きますがロープ類は一切ありません。展望岩から10分ほどで分岐でここは登りの要注意個所です。登り時には正面に立ちふさがる大岩の左側を進みます。小さなプレートの架かっていますが、足下に気をとられているとつい見落とします。以前、右手を直進気味に登り大変難渋した末に南峰の手前に出た記憶がありますが、今回はこの地点はテープが張られ止められていました。
分岐からは落ち葉が積もる道を下ると10分で指導標のある分岐で、右に登山口への道が下り直進すると不動院です。
○不動院12:44〜下山口13:16
明るい不動院は長楽寺の奥の院で武田山と火山が目の前です。遅めの昼食後下山です。不動院からの下山は分岐に戻りすぐの水場を過ぎ左に暗い谷を見て下ります。不動院から5分ほどで右手に鐘楼、続いて3分で石灯篭のある展望所で沼田の町並みの先に鈴が峰、宮島が望めました。
これから先は参道ということもあり一部を除くと整備された丸太や角材の階段が現れます。石燈籠から15分ほどで大正8年とある「右不動道 左やま道」の道しるべがありますが山道はほとんど消滅しています。道が広く緩やかになると7分で長楽寺登山口に下山です。
登山口の案内はありませんが、不動院の由来書が立っていました。登山口は長楽寺1丁目奥の公園脇で駐車可能スペースもあります。団地の中を下りAL長楽寺駅に着きました。
広島里山紀行記 |