【概 要】 |
冠岳は廿日市市と大竹市の市境に位置し、標高は487mと低山で南北に長細い尾根を持ちます。次々と現れる花崗岩の大岩や岩を縫っての登路は飽きることなく楽しませてくれます。
ざれた岩肌を登ってたどり着いた山頂は、巨岩の「控え岩」と呼ばれる一枚岩と冠形の岩とで構成されたテラス状の展望台で、低山らしかぬスケールの大きな展望に驚かされます。
山頂からは青い真珠湖(小瀬川ダム貯水池)を眼下に、東に三倉岳や瓦小屋山、南に黒滝山(大竹市)や白滝山、大師山(山口県美和町)、西に二代木山、北は開けて西中国山地の山並みと360度の素晴らしい眺望が得られます。
東側の三倉岳の名声に隠れて知名度は今一つですが、大岩と展望の良さでもう少し評価されてもよい山と云えます。
○登山口〜見晴らし岩
小瀬川貯水池堰堤の広島県側の
駐車スペースに駐車します。向かい側、国道がカーブする地点の道路際に「冠岳登山口 山頂迠60分 広島やまびこ会」のプレートが架かっています。ダム工事当時の事務所跡と言う小スペース奥に延びている急斜面のジグザグ道を登ります。小尾根に登ると以前のサイレン塔の跡に
通信電波塔が立ち、柵に「冠岳登山道」の案内があります。柵の右手を巻いて登り10分もすると梢越しに山頂が顔を見せました。
この先は4つか5つのピークと3つ程の小ピークを結ぶ尾根道を進みます。登路はマツと雑木の混在林が主体の中をほぼ真っ直ぐに登って行く感じで、木々に遮られて展望も良くありませんが新緑の雑木林は明るい雰囲気です。
最後の鞍部を越えると道は次第に急になり、そして岩も出てきます。やがて登路の右手にそびえる大岩が目に入ります。岩の左手の岩の間をよじ登るように登っていくと展望のよい「
見晴らし岩」に着きました。
○見晴らし岩〜山頂
尾根から突きだした見晴らし岩からは、左手に瓦小屋山の稜線、中央はるかには黒滝山や白滝山、大師山、右手目の前には形の良い宝田山が望め、そして目の下にはきらめく青い真珠湖(小瀬川ダム貯水池)が見えています。
見晴らし岩からの登りはこの山の核心部に入ります。道はこの先で二分し、右手は目の前の岩の道を登りますが、左手は巻く感じのシダの多い道です。今回は登りは
右手の本道を進み、下山時は左手の脇道を下りました。
シダの増えた道は斜度を増しますが梢から展望も得られるようになり、次から次へと現れる巨岩、奇岩に目を奪われます。中にはリングボルトが打ち込まれた岩も見られますが、ロッククライミングも行われているのでしょうか。
左手のひときわ大きな
タワー状岩の脇を越えると、下山に利用した道が分岐しています。この岩を過ぎると山頂部が望めますが見上げるような角度です。右手には三倉岳が顔を出しましたが、残念ながらこの角度からは三本槍は見られません。
シダの茂る、しかし明るい道を登ると目の前に花崗岩の大きな岩肌が現れましたが、表面の
風化したざれた岩肌です。左手下方には吸い込まれるような青い真珠湖が見えています。慎重に登ります。登り切ったところが山頂で、一本松に冠岳のプレートが架かっていました。
山頂は巨岩の一枚岩と冠形の岩とで構成された
テラス状の岩(控え岩)ですが、真珠湖側は切れ落ちかなりの高度感です。岩上からは青い真珠湖を眼下に、東に三倉岳から瓦小屋山への稜線、南に黒滝山や白滝山・大師山(岩国市美和町)、西に二代木山、北は開けて大峯山や西中国山地の山並みと360度の素晴らしい眺望が得られます。
○山頂〜下山(登山口)
下山は大岩の東側、右を巻いて尾根を下り、沢伝いに国道186号に出るルートがありますが、今回は往路を引き返しました。
滑りやすい花崗岩の上を下ったところの左手に、展望の良さそうな岩場が見えますので寄り道します。ここからもかなりの高度感をもって見晴らし岩に劣らない景観が得られました。
タワー状岩からは右に下りましたが(往路は左手から登りました)、シダが多いもののさほど難所もなく見晴らし岩に出ました。この先は展望がありませんので、もう一度見晴らし岩に寄り道します。アップダウンを繰り返して登山口に下山しました。
広島里山紀行記