山  名   宮島弥山  三剱山(焼山) 
標  高 530m    490m台 
場  所 広島県廿日市市宮島町 
登  頂 H30.11.7 
アクセス JR宮島口駅(広電宮島口駅)→フェリー乗り場→宮島桟橋 
コース ○大元公園登山口9:32→10:36前峠10:39→三剱山
○三剱山12:24→弥山13:09
○弥山13:18→紅葉谷園地14:36 
メンバー 美11名 
過去記録 H29.1.11 H28.2.3(前峠山) H27.1.13 H27.6.7 
H25.1.9 H25.6.6  H23.2.14

 

                      概 要
  廿日市市宮島町の弥山は改めて紹介するまでもありませんが、改築された展望台からの360度の眺望が特筆です。世界文化遺産区域として登録されて以来観光客が増加し、今回も登山者よりは高齢者、子ども連れ、外国人などの軽装者の姿ばかりが目につきました。
 これに対して三剱山は宮島観光協会で紹介されている山とは異なって観光気分では難しいマイナーコースであり、それだけに自然の姿を残す静かな山歩きを楽しめます。国土地理院の地形図には山名も標高もありませんが、平成4年に山火事の被害を被ったこともあり焼山の俗称で親しまれる宮島の隠れ名山的存在の山です。ただ登山者の増加に伴い以前のような野趣は失われつつあるようです。とくに今回は岩の露出や倒木など、相次いだ豪雨や暴風などの影響によると思われる山容の変化の大きさに驚かされました。
 標高490m台の三剱山の山頂部は樹木の成長が著しく360°の展望とは行きませんが、それでも北側と南側と場所を変えるとそれぞれに素晴らしい景観を楽しむことができます
 南側の岩からは502m峰を正面にして左手に弥山、右手に三つ丸子そして長い尾根の先に岩船岳、またその奥に能美島から周防大島と広がる多島美そして岩国、大竹の市街を望みます。また北側の露岩からは前峠山(まえだおやま)や宮島の街、厳島神社を鳥瞰し、さらに広島市街まで視野が広がります。そして眼下の大野瀬戸を挟んで経小屋山、大野権現山から芸北の山並みまでのスケールの大きい展望が期待できます。
 今回は大元公園から出発して前峠山の裾を巻いて前峠に出て三剱山に登りました(一応前峠コースとしておきます)。そして三剱山から弥山本堂を経て弥山を往復し紅葉谷コースで紅葉谷に下山しました。

○大元公園登山口9:32〜前峠10:36
 出島する旅行者と入れ替わる形で宮島桟橋に降り立ち、修学旅行生達に逆行しながら多宝塔コース登山口に向かいました。厳島宝物館先の階段を登った多宝塔の東屋横が登山口ですが、案じた通り鎖が架けられ非情にも「立入禁止 広島県」の札が揺れていました。
 予定を三剱山に変更して「あせび歩道」で大元公園に向かいました。道すがら眺められる大鳥居はいつもより変わった視点で新鮮です。
 国民宿舎みやじま杜の宿を右にみて大元神社前で大元公園に入りました。モミ巨樹が群生し秋色の乏しい、深山幽谷の雰囲気漂う公園の奥に進むと大元コースと三剱山への登路の分岐です。分岐には「←弥山登山道(大元コース)・駒ケ林」の指導標柱があり大元川の橋を渡ると瀬戸内海国立公園の案内図があります。
 指導標の右手から前峠・三剱山をめざしますが、ここにはそれを示す表示などは見あたりません。すぐ先に環境庁・広島県の「宮島鳥獣保護区」の説明板がありますが、前回からわずか2年余りで既に倒壊状態で歳月を感じます。説明板の右手は前峠山への登山口ですがここにも案内表示類はありません。
 今回は前峠コースとしてそのまま直進しこの先から上りに入り、谷を右下に見ながら前峠山の裾を巻いて登っていきます。道幅そのものは広く落ち葉を踏んでの道は大変歩きやすのですが、所々で倒木が見られます。
 分岐から25分ほどで崩落跡ですが、ここを越えた辺りから登路の雰囲気が一変しました。巨岩が現れ道には大小の岩が散在し太い倒木が道を塞ぎ、おおよそ観光ルートからは想像できない宮島の一面を見ることになります。崩落跡地から30分余りで、大元川源流側に鋭く傾斜した露岩を横切りますが、ここは補助ロープが無ければかなり難儀する場所です。
 ここから3分で支尾根に出るとすぐ前峠山からの下山路が合流しました。樹幹には「ここは前峠の西側」や「←三剱山・多々良林道 ↓大元公園 前峠山→」のテープが見られます。合流点から1分で前峠(310m台)の鞍部です。

○前峠10:39〜三剱山11:20
 前峠は三差路分岐で南側に先峠や多々良林道さらには岩船岳への登山コースへと繋がる道が降っており、「ココハ前峠マエタオ」や「多々良林道方面→」のテープもありました。
 三剱山への登山口にはテープがあり、ひと頃に比べると良く踏まれた直登の道が登り、テープも増えているので迷うことはないでしょう。再び険しさを増した道を3分で三剱山の西側を垂直に立ち上がる大岩壁に突き当たりますが、ここは足掛かり、手掛かりが十分にありますので岩壁の裾に沿って慎重に登ります。登り切りて振り返ると岩壁の大きさに改めて感動させられます。
 一息つくと次の登りが待っていました。ここも余り足場の良くない岩場ですが補助ロープもあり見た目ほどではありません。登ると背後には大岩の点在する前峠山(まえだおやま)が見え暫し展望を楽しみます。引き続いて最後の難関と云える岩の隙間をくぐり抜けます。岩場に取り付いてから10分ほど要しました。
 この先も露岩を巻いたり乗り越えての登りが続きますが、暴風により折れたと思われる小枝が辺り一面に散在しています。その分だけ樹林が明るくなり、心なしか岩々の露出が目立つような気がしました。林床がコシダで覆われた樹林をしばらく登り、上空が明るくなると展望の大岩に到着しました。西の方向に展望が開けて正面に502m峰が大きくその左に能美島、右に三つ丸子山、その奥に岩船岳が顔を見せています。白く立ち枯れた木々の目立つ最後の急登をクリアすると山頂です。

○三剱山12:24〜大聖院コース合流点12:45
 三剱山の山頂は巨岩の露岩です。成長した樹木により360°の大展望とはいきませんが、南側と北側の巨岩に立てば景観が十分堪能できます。
 南側の岩からは502m峰(俗称ニクイまたは岩屋山)を正面にして左手に弥山、右手に三つ丸子山そして長い尾根の先に岩船岳、またその奥に能美島から周防大島に広がる多島美そして岩国、大竹の市街を望みます。また  
 北側の露岩からは前峠山や宮島の街並み、厳島神社を鳥瞰し、さらに広島市街までが視野に入り、そして眼下の大野瀬戸を挟んで経小屋山、大野権現山から芸北の山並みまでスケールの大きい展望が広がります。満潮の青い海と一体となって浮かぶ朱の大鳥居が印象的でした。
 下山は弥山に向かって東側に下りますが、要所には木階段もあると云うものの、滑りやすく傍の樹木を掴まりながらの急降下となります。途中、今は樹木に遮られて山頂からは見ることの難しくなっている駒ケ林を見るため寄り道しました。駒ケ林を眺めるための最高のポジションで、背後に弥山を従える形で眼前に迫り来る大岩壁には圧倒されます。最後の難所の階段状に堆積した大岩を慎重に降りると駒ケ林と三剱山との鞍部です。「←弥山、駒ケ林・大元公園→」の道標が立ち、左手から大元コースが合流しています。山頂からは7分ほどでした。
 この先は格段に良くなった道になり駒ケ林をトラバースしますが、すぐ石段や十九丁石があり参道であることを実感させられます。3分ほどで三仏像の石仏で、ひさしのように張り出した岩屋(石仏には三剱窟と刻まれているとのこと)の下を潜ります。さらに2分ほどで「←駒ケ林」の道標で左に駒ケ林への石段が登っていますが今回は見送りました。下っていくと駒ケ林と弥山との鞍部に出ました。三剱山と駒ケ林の鞍部からは15分でした。

大聖院コース合流点12:48〜弥山13:09
 この鞍部は大聖院コースと奥の院コースが合流する十字路で「←駒ケ林、大元公園・弥山展望台→」や「←大聖院・奥の院→」の道標、瀬戸内海国立公園の案内図があります。道標では大元公園までは2.8kmとありました。合流点から石段を登ると金剛力士像一対が安置される仁王門です。仁王門は近年台風被害の影響が大きく、倒壊と再建を繰り返し長らく礎石だけの状態も続きましたが平成16年に再建開眼されました。鞍部からは弥山へ向けての長い登りで、ステップの大きい石段部分も多く苦行の道です。展望の得られるクジラ岩を過ぎ、仁王門から7分で「御山神社→」のある御山神社分岐を直進します。赤い祠の水掛地蔵から傾斜を増した石段を登ります。上方が明るくなり釈迦如来、文殊菩薩などの十三仏の石仏群を過ぎると弥山本堂到着です。仁王門からは10分余りでした。
 本堂前は紅葉シーズンで多くの観光客の姿が見られました。本堂は弘法大師が修行を行なったと伝えられ、霊火堂ではそれ以来の「きえずの霊火」が燃え続けるとされています。本堂から三鬼堂(弥山の守護神である三鬼大権現を祀る)、観音堂(観音菩薩を祀る)、文殊堂(文殊菩薩を祀る)を経て奇岩、くぐり岩を潜ると山頂です。本堂から10分でした。
 
○弥山13:18〜紅葉谷園地14:36
 岩の間を抜けると正面に弥山展望台が見え山頂広場に出ました。山頂には二等三角点(529.7m)が置かれていますが、最高点は巨岩の磐座(いわくら)の535mとなります。木材を多用した和の雰囲気の三階建て展望台からは、登った者だけが目にすることができる瀬戸内の海と島が織りなす360度の大パノラマを堪能できます。
 北方向には宮島口から広島市街地、東側方向にはロープウェー獅子岩駅、その右手に大奈佐美島、その背後に江田島と西能美島、東能美島その奥には倉橋島が重なり、そのさらに野呂山など呉の山々も見えています。また南方向には小黒神島、大黒神島から阿多田島が、その右奥には周防大島も望めました。西側には宮島の先峠山から三つ丸子山、駒ケ林と三剱山その先に経小屋山で大野権現山から芸北の山並みも連なっています。
 下山は一度本堂まで戻り本堂からはロープウェイ利用の観光者と紅葉谷コースの下山口へ向かいます。3分ほど下った小堂閼伽井堂(あかいどう)前から舗装遊歩道を避けて山道に入りました。時折見えるロープウェイ駅舎などを楽しみながら、10分ほどで紅葉谷コース下山口の鞍部に到着しました。
 ここはロープウェイ獅子岩駅、博打尾コースの分岐点で昭和6年建設とある「天然記念物弥山原始林」の石柱と宮島自然散策案内図そして「紅葉谷1.8km、弥山山頂0.7km、獅子岩駅0.3km」の標柱が立っています。と同時に土木工事中の看板もありました。下山口から早速急な石階段が下り、西日本豪雨災害の補修と思われる工事が見られました。自然石の参道は階段のステップが高く足腰に応えます。主要な登山コースだけに道標は良く整備されています。登山道の右側は紅葉谷川で、10余りの砂防用堰堤が造られていますが多くは既にマサ土で埋まった状態です。
 下山口から17分ほどの「←紅葉谷園地1.4km・弥山山頂1.1km→」の標識がある13号堰堤の辺りからも急な石段が続きます。「←紅葉谷園地1.3km」を過ぎる辺りから少し緩み辺りは巨樹の点在する薄暗い雰囲気です。夫婦木を見送り10号、9号と堰堤を見送り、「←紅葉谷園地0.6km・弥山山頂1.9km」の標識と昭和6年建設の「天然記念物弥山原始林」の石柱を過ぎるとようやく道も穏やかになりました。「←紅葉谷園地0.3km・弥山山頂2.2km」の標識を過ぎて紅葉谷園地の広場に出ました。下山口からは約50分でした。
 紅葉谷園地には紅葉谷コースの案内板や「紅葉谷川庭園砂防案内図」、そして「←紅葉谷園地・弥山山頂2.3km→」の道標があります。ここまでの道は常緑樹主体でしたが園地は紅葉の見頃でした。奥紅葉橋を渡り紅葉狩りの人達と共に四宮神社、岩惣前のもみじ橋を渡り今回のコースを終えました。
                             
                               広島里山紀行記



 


  

   

   
  8:45 宮島桟橋   観光客と共に登山口へ 

    
  正面に登山予定の駒ケ林が見えています

   

   
  満潮に浮かぶ回廊   宝物館の背後に多宝塔が見えています 

   

   
  登山口の多宝塔に向かいます    9:06 多宝塔に到着しましたが 

   

   
  多宝塔前の登山口は閉鎖されていました    9:15 三剱山に変更。、あせび歩道で大元公園へ 

   

   
  町屋の先に大鳥居、新鮮な風景です    9:25 モミ巨樹の群生する大元公園

   

   
  9:31 前峠コースで三剱山へ向かいます   左に進みます。右は前峠山へのルートになります 

   

   
  大元川を左下に見て    良い道ですが倒木も 

      





   
     9:57 崩落跡を通過します   次第に雰囲気が変わってきました 

   

   
  風倒木が多いようです   他コースと全く異なった山容です 

   

   
  道が険しくなってきて   道を塞ぐ倒木です 

      





   
     このロープは助かります    10:34 尾根に出ました

   

   
  尾根、ここで前峠山ルートと合流します   10:36 前峠に到着。多々良林道への道が右へ 


 

      
     10:39 前峠から三剱山に向かいます





   

      
  10:44 行く手を塞ぐような岩壁が      岸壁の裾に沿って登ります 

      

      
     足掛かりはしっかりしています         振り返った岸壁に感動

      





   
     次の岩場はロープもありました   背後には大岩の点在する前峠山が 

   

   
  狭い岩の間を抜けます   露岩を巻いたり乗り越えての登り 

   

   
  以前より岩々の露出が目立つような?   小枝が散在しています。明るい樹林を 

      





   
     コシダで覆われた急な道を   11:10 展望の岩に到着です
   

         
        展望の岩からは正面に502m峰、右に三つ丸子山、その奥に岩船岳が望めます

      
 
     山頂へ向けて最後の一踏ん張り  


  

   
 
  11:20 三剱山山頂の南展望岩に到着です  


     
    南側の岩からは正面に502m峰、左手に弥山、右手に三つ丸子山その先に岩船岳、そして多島美が広がります  

   

   
  北側にも展望岩が   厳島神社を俯瞰、朱の鳥居が印象的です 


   
  前峠山や眼下の大野瀬戸を挟んで経小屋山、大野権現山から芸北の山並みまでのスケールの大きい展望が広がります


          
  

      

      
     下山は急な下りです       重なる大岩を慎重に降り 
 


     
 
     駒ケ林の大岩壁、圧倒的迫力で迫り来ます 

      





   
     12:33 鞍部に降りました   鞍部は大元コースが合流します





   

      
  鞍部からは参道歩きです      この先は石段が頻繁に現れます 

   

   
  岩屋の三仏像    12:39 駒け林の登山口を通過

   

   
 12:45 大聖院コースと奥の院コースの合流点に到着   12:48 弥山に向かって 





   

      
  12:48 仁王門を潜ります      石葺きの参道

   

   
  振り返ってクジラ岩を   12:54 御山神社の進入口を通過です

   

   
  12:55 赤い祠の水掛地蔵   階段の先に本堂が見えてきました 

   

   
  十三仏、穏やかな木漏れ日を浴びて   12:59 賑わう弥山本堂に到着

   

   
  13:02 三鬼堂の脇から弥山に向かいます   山頂の展望を期待させる景観が広がり 

   

   
  奇岩、くぐり岩を抜けると   山頂部の巨岩が目の前に 

   

   
  13:09 展望台が見えると山頂に到着   二等三角点が置かれています

    
    
 
    展望台から広がる贅沢な多島美 
    東能美島の奥に倉橋島、野呂山など呉の山々が。また小黒神島、大黒神島から阿多田島その右奥には周防大島も望めます


    
 
    正面に駒ケ林と三剱山
    先峠山から三つ丸子山、岩船岳と宮島の山々、その先には経小屋山、大野権現山から芸北の山並みも連なりいます
  

   

   
  13:18 下山です  


  

   

   
  13:30 本堂から紅葉谷コースの下山口へ向かって   閼伽井堂(あかいどう)前から山道に入ります

   

   
  途中で姿を見せた獅子岩駅   紅葉谷コースと博打尾コースの分岐に到着





   

      
  13:44 分岐の鞍部が下山口です      下山口から早速急な石階段が下り

   

   
  修復工事が行われています   13号堰堤の辺りからも急な石段が続きます





   

      
  全般に巨樹の点在する薄暗い雰囲気です      14:36 秋色の紅葉谷園地に出ました

   

   
  紅葉谷公園を散策気分で         14:46 奥紅葉橋を渡ります
 

            
                      秋の陽に輝く 
 

   

   
  紅葉谷橋。 紅葉狩りの人も多くなりました      四宮神社辺りは紅葉も盛りの風情 

   

   
  14:54 もみじ橋まで出ました    宮島桟橋に帰着です 
 
   
   
   
   

 
    
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