山 名 | 弥山 |
標 高 | 535m (三角点529.7m) |
場 所 | 広島県廿日市市宮島町 |
登 頂 | R2.1.15 |
アクセス | JR宮島口駅(広電宮島口駅)→フェリー→宮島桟橋 |
コース | 博奕尾コース→大聖院コース ○宮島桟橋8:49→8:58博奕尾登山口9:07→10:59獅子岩展望台11:20→弥山11:49 ○弥山12:37→本堂12:46→12:55仁王門13:00→懺悔地蔵堂13:57→宮島桟橋14:23 |
メンバー | 美12名 |
過去記録 | H31.1.9 H29.1.11 H28.2.3(前峠山) H26.1.16 H27.6.7 H27.1.3 H25.6.6 H23.2.14 |
○登山口9:07〜博奕尾9:35
登山口の前面が開けて白いメッシュシートに覆われた大鳥居が見えています。
開花したものも見られるアセビの群落を分けて登山を開始します。
マサ土の道を穏やかに5分ほど登ると広い道に合流しました。赤テープがあるだけですから下山路に使うときには注意が必要です。
道なりに進みコシダの急な道を登ると幅の広い穏やかな尾根道となります。快適な尾根道からは右手に大鳥居や大野瀬戸そして経小屋山など対岸の山並みなどそして正面に獅子岩展望台、弥山、駒ケ林を望めます。
軽く下ると紅葉谷からの道と合流します。合流点には「←もみじ谷公園・包ケ浦自然公園→」の導標が立ち、登ってきた道は倒木で形ばかりに止められていました。
合流地点のすぐ先が博奕尾です。登山口からは30分ほどでした。
○博奕尾9:35〜かや谷駅10:42
博奕尾には毛利元就と陶隆房(陶晴賢)の厳島合戦の説明板と合戦要図そしてベンチが置かれて獅子岩展望台、弥山、駒ケ林も望むことができました。
紅葉谷ルートの合流以降は包ヶ浦自然公園やキャンプ場への連絡路となるため擬木階段など歩きやすく整備されています。
緑が鮮やかなコシダの道を登り傾斜が緩んで広い道に出るとベンチが置かれていました。8分ほど歩くと「包ヶ浦キャンプ場→」の導標が現れ、すぐ「←包ヶ浦自然公園(30分)」と「←弥山登山」(博奕尾コースとは書かれていませんが)の導標がある分岐です。博奕尾から15分ほどでした。
分岐は宮島観光協会紹介のコ−スから外れた博奕尾コースの実質的登山口となります。これ以降は以前あった道標類も撤去されているようですが迷うことはありません。
分岐からはコシダの茂る急登で展望もありません。岩が見られるようになると15分ほどで主尾根の分岐に出ました。
この分岐は下山時の要注意地点です。下山時には直進しないように倒木で止めてあり博奕尾方向にはテープがあります(平成26年に進入してみましたが、5分ほどで前方が開けるものの次第に踏み跡も細くなりました)。
以前は主尾根分岐からすぐで大砂利への進入口の目印となる道標がありましたが既に撤去されたようです。
分岐からしばらく登ると左手下方に開拓集落や江田島などが見えてきます。冬枯れが目立つようになったコシダの道を登ると視界が明るく開けて広島湾方向が望めてきました。
明るい尾根道は前方に向けて一筋に登り、足下は溝のように掘れてきました。分岐から30分ほどで岩が見られるようになると獅子岩駅、獅子岩展望台、弥山山頂も確認できました。
405m台ピークに着くと前方には獅子岩駅と展望台そして弥山が見えています。ピークからは深く溝状にえぐれたマサ土の急な下りとなりロープウェーの音が聞こえるとかや谷駅です。博奕尾からは70分余りでした。
○かや谷駅10:42〜獅子岩展望台10:59
駅舎のコンクリートトンネルを抜けるとかや谷駅の右手に出ました。獅子岩駅への道は段差の大きい急登となり、登り切ると右手に景観が開けます。瀬戸内の多島海美が楽しめる「三つ石尾根」と呼ばれる博奕尾コース随一の絶景地です。
視界が一気に開けて正面には獅子岩駅と展望台、海側は左手に大奈佐美島や西能美島、絵下山そして右手には小黒神島、大黒神島と展望が広がります。道にせり出した巨岩を巻きマサ土の斜面の道を登ると今度はJR宮島駅方面と能美島方面がみえてきます。
土嚢で補強された荒れた道を一登りすると獅子岩駅の裏に出ました。かや谷駅からは20分足らずでした。
○獅子岩展望台11:20〜弥山11:49
駅舎の西側に弥山山頂がみえています。駅舎前の石段を登り獅子岩展望台(標高430m台)に向かいます。宮島は花崗岩から成るとされていますが獅子岩もその巨大な露岩の一つです。ライオンに似た獅子岩(背面に「晶洞群」の説明板があります。晶洞とは花崗岩体に生じる空洞で鉱物の結晶がみられるとのこと)があるのが名の由来のようです。
北を除くと急な崖で展望台からの眺めは素晴らしく、厳島海峡の先に大奈佐美島、江田島、能美島など安芸灘の島々など瀬戸内海の多島美が広がっています。
山頂まで1kmとの案内を見て駅舎からは観光客と共に登山と云うよりは観光気分で弥山に向うことになります。
遊歩道を緩やかに6分ほど下ると紅葉谷コースの合流点に着きました。「紅葉谷1.8km→」と「←弥山山頂0.7km、獅子岩駅0.3km→」の導標や宮島自然散策案内図、弥山原始林の説明板そして天然記念物彌山原始林の石柱(「史蹟名勝天然記念物保存法ニ依リ 昭和四年十二月文部大臣指定」)が立っています。
山頂と展望台との標高差は約100mですが合流点からは実質140mほどの上りとなります。
合流点からは舗装路に変わります。すぐ右手に山道が分岐しますが今回は舗装路を登りました。
やがて左手に視界が開けると獅子岩駅や瀬戸内海の景観を楽むことができました。登山者数計測器の前を過ぎると崩落地で展望を楽しみます。この辺りにも古びた「晶洞」の案内板がありました。
遊歩道が急になり弥山本堂が近くなると弘法大師由来の閼伽井堂(あかいどう)です。最後の石階段を登りきると弥山本堂前に出ました。獅子岩駅からは19分ほどでした。
弘法大師縁りの弥山本堂に参拝します。1200年間燃え続けると云われ今では「恋人の聖地」(NPO法人地域活性化支援センター認定)ともされる霊火堂を後にして山頂に向かいます。
鬼を祀った珍しい三鬼堂、そして崩壊した千手観音地蔵尊堂、観音堂、文殊堂と石段を登っていきます。不動明王が祀られた不動岩を過ぎて「くぐり岩」を潜ると南方が開け阿多田島そ奥のに周防大島が望めました。皇太子殿下御展望跡の碑(裏面は二十四丁石)を見て巨岩の間を抜けると弥山山頂に到着です。
○弥山12:37〜仁王門12:55
山頂は広場中央に三角点(529.7m)がありますが、「宮島
弥山山頂
五三五米」の木柱が立ているように最高点(535m)は巨岩の磐座(いわくら)石になります。
木を多用したシンプルな弥山展望台休憩所は「おりづるタワー」と同一設計者とのことで今ではすっかり風景に溶け込んでいます。
展望台2階の床面より一段高くなった縁側から青い空と海が広がる風景をゆったり楽しみます。また屋上からは360度の大パノラマを展望が得られます。北方向には広島市街地、東側方向には獅子岩駅や大奈佐美島その背後に江田島と東西能美島、その先に野呂山など呉の山々も見えます。南方向には小黒神島、大黒神島から阿多田島が望めます。西側には先峠山から三つ丸子山、駒ケ林と三剱山、大野の経小屋山と山並みが連なります。
下山路は磐座石の右側の大日堂経由と左側の文殊堂経由がありますが、今回は文殊堂の方へ下りました。10分足らずで弥山本堂に着き右手の大聖院方向に下ります。
十三仏そして大日堂へ登り口を見送り真っ赤な祠の水掛地蔵堂を過ぎると3分で御山神社(3女神を祀る朱の瀟洒な神社)への入口に着きました。
御山神社の赤い鳥居が見えていますが今回は寄り道しないで下ります。鯨岩(岩の上には潮吹きに似た穴があります)を抜けると駒ヶ林と真正面に見えています。石段の参道を下り十九丁石を見ると山頂から20分足らずで仁王門に到着しました。
○仁王門13:00〜宮島桟橋14:23
仁王門は平成11年の台風で倒壊し平成24年に再建されたものですが2体の仁王像だけはほとんど被害がなかったと云います。
仁王門のすぐ下が四差路分岐で「大聖院1.9km」、「弥山展望台0.8km」、「大元公園2.8km」の導標と瀬戸内海国立公園(宮島)の案内板があります。
直進すれば駒ヶ林と焼山(三剱山)や大元公園コース、左折すれば奥の院コースで、右折の大聖院コースは弥山と駒ヶ林との間の谷筋を下る形になります。
アーチ型の石階段を下ると早速に急な石段が待ち受け、下り口には「厳島神社
2.0km、桟橋2.5km」の道標がありました。次いで現れるのが遊女が寄進したと云う「遊女石畳道」で「奉寄附捨間」と刻まれた二基の石柱が立っています。ただこの道は平成17年の土石流で流され新たに別ルートとして作られたものです。谷を挟んだ左手に土砂崩れの先端部が見えています。
仁王門から12分ほどで前方が開けると突然石組みが現れました。まるで砦のような異様な光景ですが景観に配慮して表面に石材を張った白糸川1号砂防堰堤です。
堰堤の石段を登り対岸に渡ると谷は右手に変わります。この辺りが乗馬で来た広島城主が引き返したという「大夫戻し(たいゆうもどし)」でしょうか。
この先は新しいけれども急勾配の石段の道が下っていきます。右側には未だに土石流の跡が残り露出した花崗岩が見え隠れします。中でも劇場の緞帳を思わすことから「幕岩」と名付けられたという巨大な一枚岩(宮島観光協会資料では高さ30m、長さ150m以上)は圧巻です。ここがほぼ登山道の中間地点となります。
急勾配の石段の道を下り落ち葉に埋もれた石仏群を過ぎると、昔は岩屋大師と呼ばれていたと云う賽の河原で大きな岩の下に数体の石仏が祀られています。
仁王門から35分あまりで茶店があったっと云う里見茶屋跡の東屋に着きました。標高約170mの東屋からの展望はコースで随一で厳島神社や千畳閣、五重塔など厳島神社エリア核心部の景観が一望できます。
茶屋跡からも続く急な階段を下ると瀧宮神社で、神社の手前に天然記念物弥山原始林と白糸の滝の石柱が立っています。この辺りは土石流災害が著しく再建された社の周辺は明るく開け、背後には白糸の滝が見えますが水量は少なく周辺を破壊尽くした土石流のイメージは湧きません。
神社からは長い階段が下っておりその先に瀧不動堂と大聖院の伽藍が見えています。見た目には古びた雰囲気の瀧不動堂ですが全壊し再建されたものです。
下るとこれも一見岩組のようにも見える白糸川2号砂防堰堤で、この辺りにあった丁石や石仏群も多くが土石流により行方不明になった云います。宮嶋新地蔵と板書された祠を過ぎ対岸に大聖院を見ると懺悔地蔵堂です。
懺悔地蔵堂を過ぎて石鳥居をくぐると瀬戸内海国立公園(宮島)の案内板と「弥山登山道(大聖院コース)・2.5km」の導標が立つ大聖院コースの登山口です。
広島里山紀行記