西穂独標
【山 名】 | 西穂独標 2701m |
【登 頂】 | H23.9.15−16 |
【場 所】 | 高山市上宝町、松本市上高地 |
【アクセス】 | JR新広島駅→JR名古屋駅→JR高山駅→新穂高温泉 |
【 コース 】 | ロープウェイ新穂高温泉駅→西穂高口駅→西穂山荘→丸山→西穂独標 |
【情 報】 | |
【メンバー】 | 同道二人 |
【過去記録】 |
【概 要】
○ 穂高岳への入門コースとして位置付けられる西穂独標に登りました。独標は西穂高岳から奥穂高岳に至る厳しい尾根部の南側入口に位置しています。前回は単独、日帰りでしたが今回は同道二人の山小屋泊まりで気楽です。このコースはロープウェイを利用すれば標高2156mまで一気に高度を稼げて、比較的短時間で北アルプス登山の雰囲気を楽しめます。
1日目
○ 標高2156mの終点西穂高口駅の山頂駅展望台にちょっと寄って、今回のコースを眺めておきます。快晴の展望台に立てば笠ヶ岳、槍ヶ岳、西穂高岳などの北アルプスの雄大な山岳風景が360度の大パノラマで展開しています。
○ 西穂高口駅出口で水場で水を口に含みましたが五臓六腑にしみ込む冷たさでした。整備された千石平園地の遊歩道を進みミズバショウの自生する小湿地を過ぎると登山口の表示があります。
その先に登山案内所の小屋が現れすぐ先にも古い小屋もあり、この辺りから本格的な千石尾根の登山道が始まります。要所には木道も敷かれ緩やかな樹林帯のアップダウンを繰り返しますが原則的には下り道です。あたりはコメツガやシラビソの深い樹林ですが時折、樹林越しに展望が開け西穂高岳の稜線上の幾つもの尖ったピークが望めたり笠ヶ岳の雄大な姿がみえたりするのが慰めになります。
○ 中間点あたりで新穂高からの登山道と合流するあたりから徐々に勾配がきつくなり、シラビソやコメツガに替わってダケカンバが多くなってきます。途中、簡単な丸太橋を渡ったりしますが、危険個所はありません。急登を続け最後の胸突き八丁の岩道を登りきり、頭上の西穂山荘100mの表示に励まされて平坦になった道を回り込むと視界が開けて西穂山荘の建物が目に飛び込みます。
○ 森林限界に立つ西穂山荘はすでに標高2385m地点です。丸太造りの立派な外観で広い木床のベランダにはテーブルベンチも置かれています。ちょうどヘリコプターの飛来時刻ということで登山者は待避しています。衆目注視の中、急いでザック一つを山荘横の棚にデポし休む間もなく出発しました。ここから西穂独標までは1時間30分(高齢者2時間)で、その先の上級者向けコース西穂高山頂へはさらに2時間(高齢者3時間)を要するとか。
○ 西穂山荘から上は森林限界を超えたので開放感が得られますが、すぐに大きな岩の間を抜けていく急登です。が、すぐに背の低いハイマツの間のなだらかな道になり突然展望が開けます。振り返ると山荘の赤い屋根の先に焼岳、その奥に雄大な裾野を広げた乗鞍岳、更に遠く白山(2702m)も雲海の上に遠望できます。左手、西側には小高い山頂にロープウェイの西穂高口駅の建屋が見え、その先に新穂高温泉の蒲田川が望めます。
○ 進むとケルンが積まれ標柱の立つ小高い丘状の丸山(2452m) に到達しますが、これぞ北アルプスと云うダイナミックな景観が360度で展開します。笠ケ岳から双六岳、三俣蓮華など北アルプスの核心部が、東側には霞沢岳が大きい。ここで「アルプスのパン屋さん」で買ったパンで昼食としました。
○ 丸山を過ぎると遮るものが無い景観の歩きとなります。登山道は両脇にハクサンシャクナゲとハイマツが群生する低木の樹林帯を抜けて一旦やや下ります。前方にはハイマツの緑の中に白く見える登山道が延びその先に目的の独標が顔をのぞかせています。
岩礫のゴロゴロした長い斜面を高度を稼ぎながら登りつめると斜度が緩み独標が目前に現れました。その先にはひときわ尖ったピラミッドピーク、さらに西穂高岳を含む複数のピークが連なっています。右側眼下には霞沢岳、六百山を巻く様に流れる梓川、大正池など上高地を一望できますが、緑の中にホテルの赤い屋根が印象的です。
○ ここからはいよいよアルペンムードたっぷりの稜線歩きの雰囲気を楽しむことになります。ルートは岩稜の左、岐阜側をトラバースして進みますが深い谷が切れ落ちています。一旦、岩稜を越えて下り鞍部に着きますがここは右手の長野県側にも切れ落ちていますが、
西穂高、奥穂高への稜線歩きはこの連続なのでしょう。
○ いよいよ独標の真下に出て岩隗に取り付きますが、山の天候は変わりやすく先ほどまで好天は変わって岐阜県側からガスがわき上がってきます。ペンキ印を探しながら慎重にルート選択し三点支持、三点支持と呪文をとなえながら急な岩場を登って行きます。最後に鎖りがありその先を登りつめたところが独標の頂きですが意外に容易く登れました。
頂はさほど広くなく四周どちらも断崖という感じで、岩場の中に西穂高独標
の小さな標柱が一本建っています。足下の岩には11峰と書かれていますから、これから先に10の峰が待ちかまえると云うことでしょうか。
○ 遠目には賑わっているように見えた頂きには誰もいません。全くの独標独り占めでした。そのうち、若い男女のペアが西穂高方向から登ってきましたのでデジカメ撮影をお願いしましたが、彼らが下山するとまた独り占め。岐阜側からのガスで笠ケ岳方向は視界ゼロですが、幸いそれ以外は良好な展望が得られました。
独標から見る西穂・奥穂方面は大迫力です。ピラミッドピーク、西穂高、間ノ岳、ジャンダルム、奥穂高岳、さらに奥穂高岳から吊り尾根、前穂高岳、明神岳と続く選ばれし者のみの山域が広がっています。裾には岳沢の赤い屋根の山小屋も望めます。
○ 西穂高の方を見ると下山してくる人の姿が見えています。西穂高側は高度差は少ないのでちょっと鞍部まで下ってみたい衝動に駆られますが、上級者向けコースの先入観が邪魔して踏み出しが出来ません。これ以上滞在しても時間帯からしてガスの回復は望めませんので下ります。下山口から覗いてみるとそれなりの高度感を感じることができ、やせ尾根の両側が切れ落ちているのもよく分かります。
○ 山荘を目指して元のコースを下ります。下り前方の展望はガスが掛かり良くありませんが、それでもまだ登ってくる人がいます。振り返ると岐阜側にはガスは巻いているものの独標から先の峰々は変わることなく遠望できます。丸山へ向けてのガレた広い尾根道は危険度は低いものの荒天時にはむしろ迷いやすいとも。
○ 山荘前広場は西穂高方面から下山し達成感に浸る人、上高地から登ってきた単独者、ロープウェイを使って来た人が思い思いに休息し、幕営地には色とりどりのテントが花開いています。里山紀行もそんな人達に混じり一角で夕食までのひと時、コーヒータイムです。
2日目
○ 山小屋の朝は早い。西穂、奥穂を目指す人などで4時頃にはあたりが騒がしくなります。窓の外見ると上高地の明かりが見え、笠ケ岳も赤くモルゲンロートに染まっています。思いついて丸山の手前まで出かけてみました。上高地の大正池あたりは川霧が漂い、焼岳も笠ケ岳は朝日を受けて輝いていますが刻々とその表情を変えていきます。
○ 朝食後、再度丸山まで足を伸ばしてみました。すっかり明るくなった山頂からの展望は何度眺めても飽きません。北東方向には八ヶ岳が雲の上に頭を出しその右手には富士山も見えています。
後は下山だけですから山荘レストハウスでのんびりコーヒーを頂きます。そうする中にも一番のロープウェーに乗った人達が三々五々に山荘に到着してきますので、頃を見計らって下山に掛かりました。
広島里山紀行 記
1日目 | |
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ロープウェイ、新穂高温泉駅 | あっという間に高度を上げて |
ロープウェイ西穂高口駅展望台から。右に西穂高岳、左に笠ケ岳、中央にはるかに槍ケ岳も パノラマスクロールはこちらへ | |
千石園地先の登山口 | 無人の登山案内所で入山届けを |
木道 | シラソビ林の中の登路 |
西穂高岳の峰々、右端に独標も | 次第に道は険しくなり |
ときおり得られる展望が慰みに | 胸突き八丁、これを越えると山荘は間近 |
ナナカマドの向こうに西穂山荘が | 丸山への登路から山荘を俯瞰 |
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ハイマツの先に西穂高岳が現れて | |
中央が丸山、ひときは高い西穂高岳、右端に前穂高、笠ケ岳は雲に隠れている。左端はるかには白山も パノラマスクロールはこちらへ | |
天空に通じるかのような登路 | 顔を出した笠ケ岳 |
ハイマツの中、どこまでも続く砂礫の道 | ようやく傾斜も緩んで |
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振り返ると中央に丸山、その奥には焼岳、左は霞沢岳、乗鞍は雲に隠れている。眼下には上高地が | |
西穂高独標が間近になり | アルペンムードたっぷりの稜線歩き |
岐阜県側、大きく切れ落ちて | 登山者を見ると気持ちも逸りがちに |
見上げると岩山 | ふと見ると前穂高と明神岳が間近に |
鎖を巻くと直ぐ頂上に | 振り返ると |
奥穂高岳とジャンダルム | ピラミッドピークと西穂高岳 |
左からピラミッドピーク、西穂高、間ノ岳、ジャンダルム、奥穂。吊尾根を経て前穂、明神岳へと連なる パノラマスクロールはこちらへ | |
西穂高独標の頂き | ここからは上級者の領域 マウス を乗せると |
眼下に岳沢。吊尾根から前穂、明神岳の峰々。梓川も | |
下山口からの俯瞰。眼下に上高地のバスターミナルとホテル | |
アルプスの雰囲気いっぱいのトレイル | |
岩庭のような風情 | 幕営地のテント群 |
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西穂山荘本館 | 山小屋としては立派な |
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2日目 | |
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早朝、出立する人達 | 富士山遠望、その手前は甲斐駒ヶ岳 |
朝日に輝く焼岳 | 笠ケ岳 |
中央に焼岳、その奥は乗鞍岳。上高地、奥飛騨温泉郷は川霧に被われている | |
刻々表情を変える笠ケ岳、抜戸岳 | |
焼岳の奥に乗鞍岳 | 端正な山容の笠ケ岳 |
山荘前が丸山方面への登山口 | 出発準備する人、到着した人 |
快適なトレッキングコース | |
登山路からの独標も最後に | 登山案内所が見えて |
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花の季節は終わって結実の時期 |
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