山  名   大野権現山   おむすび岩 
 標  高  699.5m    658.1m
 場  所  廿日市市大野町
 登  頂  H25.11.12(火)
 アクセス  ○JR宮内串戸駅→宮内串戸駅バス停(広電バス佐伯線)8:30→佐伯工業団地入口バス停8:55
 ○広電バス上峠バス停13:46→宮内串戸駅バス停→広電宮内駅
 コース  ○佐伯工業団地入口バス停8:55→登山口9:18−9:28→鞍部9:48→山頂10:40
 ○山頂10:59→ベニマンサク湖分岐11:22→11:28佐伯町分岐11:28→おむすび岩11:55
 ○おむすび岩12:36→十字路鞍部13:01→下山口13:27→上峠バス停13:43
 メンバー  美9名
 過去記録  H24.11.15

 

                                【概 要】                                
  大野権現山は廿日市市の大野と峠との境界に位置する標高699.5mの山で、その稜線は大野権現山から烏帽子山、船倉山へと続く長い縦走路を形成しています。
 権現の名前の付く山は各地にあり広島県にも10山ぐらいあるようですが、大野権現山、谷和権現山、日裏権現山、緑井権現山などのように地名を付けて区別されています。
 登山コースは山の南側と北側とからの二つに大別できますが、里山の常として幾つかの派生ルートがあります。一般には諸設備の整った南側の「大野自然観察の森」から登られていますが、今回は北側から登り北側に下山するコースとしました。このコースは大野自然観察の森側の登山口に対して標高差は100mほど高くなりますが、階段などの人工物がなく自然な雰囲気を楽しめます。峠地区から眺める三角錐型の美しい山容から予想されるように直登の登山路は急傾斜ですが、軽い岩場もあったりして野趣に富み、南側からの遊歩道に比べて全く違う印象を受けます。
 山頂からの眺望は素晴らしく中央部の大岩に登れば北側に大峯山、野貝原山など、南側に広島市街から宮島にかけての展望が得られます。展望の点では縦走路にあるおむすび岩がさらに優れ、ここだけを目当てに大野自然観察の森から手軽に登るハイカーも多いようです。


○佐伯工業団地入口バス停(8:55)〜登山口(9:18)
 佐伯町の佐伯工業団地入口バス停で下車します。特に案内表示はありませんが、レストハウスと書かれた民家の前をすぐ左折して佐伯工業団地の方に進みます。左前方には登山意欲をそそる三角錐型の美しい権現山が見え、その左にはおむすび岩、船倉山へと繋がる尾根が延びています。右側後方の大峯山もすぐ間近に感じられます。
 バス停から5分ほどで「佐伯工業団地」の立派な碑があり、団地内の道が真っ直ぐ延びた先にこじんまりとした青光園団地がみえます。
 団地の私道を登山口に向かって1kmばかり進みます。(団地中の鉄塔脇に団地の案内図がありますので現在地と「権現山登山口」を確認できますが、今回はここは経由しませんでした。)とにかく青光園団地最深部をめざせば登山口に至ります。
 登山口は最後民家の先で、右にブッロク積みの建造物があり、左手の木の枝に古びた手製プレートが架けられています。この地点の標高は約340mで、駐車可能なスペースもあります。

○登山口(9:28)〜峠(9:48)
 登山口に入るとすぐ足下の悪い道になります。もともと湿潤して谷間の沢のようにな道ですが前日に雨でも降ったのか、場所によっては沢の中を歩くようです。「おおの自然観察の森」開園(平成元年)まではメインルートだったと云う道も、沢に架けられた丸太も腐朽するなどしています。小沢が左に去り歩きやすくなった道を進むと20分ほどで峠に到着です。峠の前方、南方向は一応廃木で止められた形です。

○峠(9:48)〜山頂(10:40)
 ここは左(東方向)に取り付きます。とくに案内表示の類はありませんが踏み跡はしっかりしてリボンも下がり、すぐ先のリョウブの幹にはテープ が幾重にも巻かれ権現山と手書きされています。この地点の標高は約440mと思われますので、山頂まで標高差260mほど登らねばなりません。
 早速、山頂に向けての急登が始まります。10分ほどで現れるゴロゴロした岩の道はジグザグに斜度を増し、その分高度を上げて行きます。落葉のため次第に明るさの増した道登ること峠から20分あまりで左手に展望の岩 が現れます。ちょっと寄り道をしてみますが、峠地区が望め眼下には佐伯工業団地や青光園団地が見えまています。
 この先からは大岩を巻いたり岩と岩の間を抜けたりまた岩を乗り越えた、このコースのハイライトです。2個所ほど今にも切れそうな細いロープの架かる場所もあります。
 峠から45分、上空が明るくなり道も緩むと山頂が近くなります。展望の岩から27分、最後の岩を越え右に海が見えるとすぐ山頂に到着です。

○山頂(10:59)〜おむすび岩(11:55)
  門のような岩を過ぎたところが立派な「権現山」の標柱が立つ山頂です。展望岩から約30分でした。
 標柱の右は下山口で、左には権現の祠が建っていますが今年も健在でした。今にも倒れそうな祠の前を進むとぐるりを巨岩で囲まれた山頂広場です。これらの岩に立つと北から東には大峯山野貝原山 、東から南に広島市街から宮島方面が展望できます。
 展望を楽しんだ後はおむすび岩に向かいます。登ってきた山頂の西側は露岩の急崖を形成していますが、東側は緩い尾根を連ねてその先におむすび岩があります。
 下山口の道の真ん中には三等三角点が埋もれています。山頂からは地形図通りに急な下りになりますが、道は格段に良くなります。5分ほど下ったところに、まるで巨大なヘビでも登っているかのような岩がありますが、これは溶岩が岩の裂け目を登ってきたものだとか。
 道が緩やかになると黄葉の秋を楽しむ余裕も出てきましたが、かなり落葉が進んでいるようでした。それでもシロモジの黄は圧巻です。このシロモジも島根県では準絶滅危惧種に指定されているようです(なおベニマンサクは広島県では準絶滅危惧種です)。
 山頂から20分余りで右手におおの自然観察の森からの道が合流しますが、標柱には権現0.8kmベニマンサク湖1.1kmおむすび岩1.0kmとあります。進むとベニマンサク湖分岐から10分足らずの鞍部に「佐伯町」の標柱 があり左に良い道が下っています。しかし数日前に下ったT氏の話では山麓付近は倒木が多く荒れ気味とのことでした。鞍部分岐の先からに土留めのような今回のコース唯一の階段が現れます。この先は軽いアップダウンを繰り返し地籍図根三角点のある小ピークに達します。
 佐伯町分岐から20分足らずで権現1.8km、おむすび岩0.4kmの標柱を見送り、さらに10分ほどで烏帽子岩山・船倉山の分岐で左に道が下っています。これが今回の下山路になります。分岐を直進すると1分でおむすび岩に到着しました。

○おむすび岩(12:36)〜十字路鞍部(13:01)
 おむすび岩からは樹木に遮られる北側を除き素晴らしい景観が展開します。生憎、曇天で色鮮やかにとはいきませんが眼下にはベニマンサク湖、東方向には烏帽子岩山から船倉山に続く山並みに先に広島湾が、南方向には宮島が見えています。さらに西側には経小屋山から三倉岳 、大野権現山が迫ります。
 下山は烏帽子岩山・船倉山の道標の掲げられた分岐点まで戻り上峠 をめざします。
分岐からすぐ急降下が始まり木をつかんでに下りとなります。下山分岐点から7、8分の分岐は無視し右に、また20分ほどの賑やかなテープのある分岐は左にそれぞれ主ルートを進みます。急な下りが続きますが、辺りはシロモジの黄葉を主体にしてモミジの赤が混じるなど、色彩の競演です。濃密に重なり合う黄葉と紅葉は盛りの秋模様を演出し溜め息の出るばかり。
 山頂から14分ほどで大岩の裾を巻きますが、登ってみると正面に野貝原山(のうが高原)、右に烏帽子岩山が見えていました。大岩からも急坂は続きますが約10分で十字路の鞍部 に着きました。標高は500mほどですから、おむずび岩から標高差160m近くを一気に降る急坂でした。
 十字路の鞍部は分岐点で案内表示があり直進の急登は「烏帽子岩山、船倉山」、右に下る道は「自然観察センター」、来た方向は「おむすび岩」、左に下る道は「佐伯、上峠」とあります。

○十字路鞍部(13:01)〜下山口13:27〜上峠バス停(13:43)     
 上峠への道を下りますが、取りつきから倒木で前途多難を予感させます。下るにつれ沢源流部となりますので湿潤した道は歩きにくいことこの上なしです。加えて踏み跡は明瞭なものの年々増える倒木は放置されたままのようです。
 10分もすると明瞭になった小沢を左に見て下りますが、さらに5分で徒渉し沢を右にします。そして鞍部から20分で右手に砂防堰堤が現れると下山口は間近です。傾斜が緩み歩きやすくなった道を左に低灌木、右に植林を見ながら進むと下山口に到着しました。鞍部から26分でした。この地点は標高400mほどで集落の最深部になり左手に水道タンク (南部簡易水道上峠第一調整池)があります。
 ここからは上峠バス停 まで15分ほど集落の中を歩きます。
                                                     広島里山紀行 記                                   



 
登山口〜山頂  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・  

   

     
  8:55 佐伯工業団地入口バス停から      大野権現山

   

     
  9:18 登山口に到着      9:28 登山口には古びた表示が

   

     
  かつてのメインルートも荒れ気味で      9:48 峠からの登り口 

   

     
  登り口にはテープ類が       早速急登が始まり 


 
10:11 展望岩から。中央右寄りに大峯山、その左手奥に女鹿平山、右手に梢越には阿弥陀山も 

      
     
     展望岩を過ぎると険しい岩山登りが   

     

     
   

     

       
         次第に上空が明るくなり出して 
 
        
 

          

     軽いロープの架かる岩を越えると山頂も近い  
      抜けるような青空にモミジ  
   
   
山頂〜おむすび岩   
  
   
 
  10:40 山頂に到着です   

   

     
  祠前。赤は登り口、青が下山口      山頂の大岩  
 
 
             
 


   
  佐伯工業団地や青光園団地が眼下に。遠景に大峯山、阿弥陀山、東郷山も
   
       
  10:59 おむすび岩に向かって下山  縦に伸びるのは岩の裂け目を登ってきた溶岩だとか 
  
   
 
 
 
               シロモジの黄葉 

   

     
     

   

     
  11:22 ベニマンサク湖への分岐   

   
 
  11:36 佐伯町分岐の先には階段が   
   
   
おむすび岩〜十字路鞍部    
   
   
  11:55 おむすび岩に到着   


              おむすび岩からの眺望、正面に宮島を  
     

 

 
12:36 下山へ  12:37 烏帽子岩山・船倉山分岐直下の急坂を 

 

 
山の匂いと秋の風が  12:50 大岩を巻く急な下り 
  


              
                              秋色競演
                         

 

 
大岩からは「のうが高原」が目の先に   
   
十字路鞍部〜下山口  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  

 

 
13:01 十字路鞍部に到着、下山は左へ  十字路鞍部。赤が上峠、青は公園センターへ 

 

 
前途多難を予想させる下山口  足下は湿潤状態で歩きにくい 

 

 
倒木の多い悪路を  ようやく穏やかな道になって 

 
13:27 調整池の脇に下山

 
13:46 上峠バス停から乗車
  

 
                 

             
 
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