【概 要】 |
琴石山(545.2m)は山口県柳井市のJR柳井港駅の背後に位置し、海岸線から一気に立ち上がるその秀美な山容は見るものの登山意欲をかきたてます。山頂の説明板によると室町時代の終わりごろから、事能要害(ことよしようがい)という砦(山城)があったとされ山頂はその本丸跡のようです。
登山コースは白潟林道から取りつく白潟コース、四季の森コース、参道コース、学習の森コース、林道コースの各コースがあり列記順に標高差が少なくなります。また健脚者には三ケ岳から琴石山への縦走コースも選択できます。
山頂の南斜面一帯は琴石山グリンパークとして遊歩道がよく整備され白潟林道を利用すれば比較的容易に山頂に立てますが、白潟コースは公園域としての整備はなくその険峻な山容にふさわしく結構厳しい山登りが強いられます。
山頂からの展望は素晴らしく眼下には大畠の瀬戸を望み、北に高照寺山や銭壷山、東に周防大島、南に風力発電の風車が並ぶ室津半島、西には柳井市街が広がります。視界が良ければ遠く四国や九州まで見渡すことができると云います。
○JR柳井港駅9:22〜白潟コース登山口9:49
駅から国道188号線を7分ほど東進したJR踏切の手前に「琴石グリーンパーク案内」の案内板がありますの一応確認して踏切を越えて進みます。集落の中の車一台分の道を進むと途中には「琴石山登山道」の案内表示もありました。
のどかな田園風景の中を進みますが前方の琴石山は次第に姿を大きくしてきます。振り返るといつの間にか柳井港が見えるようになっていました。
水車小屋、溜め池を過ぎ民家が無くなり踏切から20分ほどで柳東小学校への表示が現れ、さらに琴石山登山道、巨樹ヤマザクラの標識に従って進むと1分で白潟林道に合流します。この分岐が白潟コース登山口となります。「琴石山登山道」(人道・車道山頂3.2km)と「琴石山登山地道」の標柱があり「道幅狭く急登あり、ミニアルプスの感あり、山頂まで約1時間」とも書かれています。
○白潟コース登山口9:57〜琴石山11:11
服装調整の後、白潟コースから登るため標識に従い左の未舗装の道に入ります。しばらくは明るい開けた山道ですがすぐに荒れた竹林の中に入ります。ただ道幅は広く足元はしっかりしています。竹林から3分ほどでログハウス風の小屋を見送ります。
登山口から20分ほどで本格的な山登りが始まり、麓から予想された通りの険峻な山道を登ることを強いられることになります。掘れた道を進み、しばらくすると足元には岩も現れてきます。登山口から35分足らずで「標高300m・山頂まで35分」と書かれた表示に出会い支尾根に乗り枯れた枝越しに海が見えています。標高300m地点から10分で軽い鞍部ですがホッとする間もなく急登が再開して6分ほどで「標高400m、山頂20」分の表示です。この急登も10分足らずで終わりに近づき視界が開け笠佐島が見えます。
ここから1分で前方が開け芝生の中にベンチがある眺望の丘(四の丸跡)に出した。生長した木々により眺望は十分ではありませんが、右手には形の良い山頂が迫ってきています。琴石グリーンパークとして整備された広い遊歩道を緩やかに登ると4分ほどで縦走路分岐にでます。ここには三ケ嶽林道へ1280m、琴石山へ250mの標柱が立っています。右折して堀切跡に軽く下り右手に開ける瀬戸内海の景観を楽しみながら最後の階段遊歩道を登ると分岐から8分ほどで山頂に着きました。
○琴石山12:00〜林道12:55
山城跡と云われる広い山頂部の一隅には祠が置かれています。山頂からの景観は大変素晴らしく北側に立てば三ケ嶽から氷室岳と高照寺山、銭壷山などこの地域の名峰が望まれ、南側からは大畠の瀬戸を眼下にして北に高照寺山や銭壷山、東に周防大島、南に室津半島、西に柳井の市街地が望めます。遠くは四国、九州までを見渡すことができるはずですが、今回はそこまでの視界は得られらませんでした。それでも穏やかな天候に恵まれ瀬戸内の多島美を十分堪能できました。
下山は柳井市の天然記念物(平成19年指定)のヤマザクラを見るため、四季の森コースを下りますが、険しい山容通りにすぐ急な下りが始まります。公園内と云うことで擬木の階段が延々と続き足腰に応えますが、これがなければ道は相当に荒廃してしまうことでしょう。このコースは登りに使えばかなり手強いと思われます。
青い海を前にしての下山路は急速に高度を下げます。13分ほどで右手上方に愛宕神社のご神体でしょうか、琴の石と云われる白い大きな岩(地質学的には珪質縞状片麻岩とか)が見え道が登っています。ここからも階段が下りますが6分で愛宕神社跡の石組のある広場に出ました。ここは参道コースとの分岐ですが四季の森コースに向かうため右に進みます。
大岩の脇を緩やかに下る道を進むと水場らしいガレた崩落個所を過ぎ前方が開けて小さな東屋の建つ展望所に出ました。眼下には柳井港が広がっています。展望所からまっすぐ下る階段道もありましたが、右の穏やかな道をとると12分で最初のヤマザクラ(樹高16.6m)、4分で二番目のサクラ(樹高19.2m)に出会いました。まだつぼみにもほど遠い時期ですが、この老木も柳井港を背景に見事な花を咲かせることでしょう。
ここからの道は粘土質で滑りやすい山道に変わりますが15分足らずで林道に下山しました。下山口には大きな岩があり巨樹ヤマザクラの表示があります。
○林道12:55〜柳井駅13:32
下山口から林道を見事な竹林を左に見ながら下ると7分で今朝ほどの白潟コース登山口です。登山口から少し下って往路の道から右手に入り、バイパスを横断して懐かしい雰囲気の残る集落の中を下ると柳東小学校の脇にでました。JRの踏切を渡り左折すると白潟コース登山口から30分で駅でした。
広島里山紀行 記