山  名   右田ケ岳 
標  高 426m 
場  所 山口県防府市 
登  頂 H31.3.27 
アクセス JR五日市駅→JR防府駅→タクシー→登山口 
コース ○天徳寺登山口10:28→観音堂10:38→石船山11:07→鞍部12:14→山頂12:25
○山頂13:17→塔之岡コース分岐13:37→休憩所13:56→権現石祠14:29→登山口14:54 
メンバー 美16名 
過去記録  

 

                  【概 要】                                 

 山口県防府市の右田ヶ岳は四等三角点の置かれた標高426mの中ノ峯と西ノ峯から成ります。山頂部は天然の要害を利用した鎌倉時代末期からの右田ケ岳城趾と云われ、花崗岩の露岩に覆われて屹立する異様な山容は登山意欲をそそられます。また南麓にある右田毛利氏の菩提寺天徳寺と右田ヶ岳前峰である石船山(前岳)との間には自然石に多数の観音像が彫られています。
 山頂からの展望は素晴しく北側は樹木に遮られますが東には矢筈ヶ岳や大平山、南には佐波川の河口に広がる防府市街地、西には西目山、楞厳寺山などが広がります。さらに視界が良ければ瀬戸内海の先に四国山地や国東半島が見えると云います。
 人気の山だけに登山コースは一般的な天徳寺コースの他に塚原コース、塔之岡コースそして勝坂(かっさか)コースや片山コースがあります。その他にも塚原コースから派生する直登コースと呼ばれる険しい岩場ルートがあります。
 今回は天徳寺コースで山頂に至り塔之岡コースで下山しましたが、危険を感じる箇所は無く特に塔之岡コースは補助ロープなど良く整備されていました。

○天徳寺10:28〜石船山11:07
 JR防府駅からタクシーで登山口となる天徳寺に向かいました。右田小学校の傍に「天徳寺入口」と「←右田ケ岳標高:426m 登山道」と書かれたグリーンの表示板が掛かっています。また駐車場案内もありました。 
 参道入口には「萬年山天徳寺」の大きな石碑や観光協会の天徳寺と右田ケ岳城趾の由来などの説明板があります。これによると天徳寺は建久3年(1192年)源頼朝によって創建され寛永2年(1625年)毛利元倶が再建して右田毛利氏の菩提寺としたものであり、また右田ケ岳城は鎌倉時代末期に大内氏一族の右田氏によって築かれ本丸は西峯にあったようです。
 長い参道を進み山門に入ると思いの外に堂々とした天徳寺本堂が現れました。広い境内には観音菩薩像や天然記念物のイチョウなどがみられます。天徳寺境内から見上げると岩塊の石船山が聳え立っています。境内からは右田ヶ岳は石船山の背後に隠れて見ることはできません。
 「右田ケ岳標高:426m 登山道→」や「右田ケ岳登山案内図」をみて進むと石の階段がありました。歴代住職の墓石群を見送り階段の登山道を登り林の中に入ると10分で周防第二十五番札所の石船山観音堂に着きました。観音堂前には天徳寺境内からみえていた石灯籠があり眼下に小学校が望めます。
 観音堂からはいよいよ岩山登りとなりました。すぐ滑りやすい大きな一枚岩状の花崗岩でステップが切られています。前方には磨崖仏がみえていますが、三十三体と云われる観音像が刻まれています。これら磨崖仏の間は探勝歩道が結んでいますが先を急ぎます。
 険しく急な岩壁間の登山道は急速に高度を上げますが岩稜なので足下は安定しています。一息つき振り返ると眼下に防府市街と以外と騒音の大きい新幹線や山陽道が広がっていました。天徳寺から良く見えていた突き出た巨岩の下を抜けると石船山の山頂に到着しました。登山口からは40分ほどでした。

○石船山11:08〜中ノ峯(山頂)12:25
 山頂には「石船山 一九四m」の札が掛かっていましたが、標高以上の高さを感じます。石船山からの景色も素晴らしく矢筈ヶ岳、大平山、西目山などの稜線そして眼下の佐波川に挟まれた市街地や田園風景が広がっていました。北側には立ちはだかるような右田ヶ岳の西ノ峰と中ノ峰の頂上部がはっきり見えています。下ると滑りやすい岩肌が露出し露岩を通過しますが西側正面に西目山の全容が見えています。
 山頂から6分ほどで鞍部に下ると岩場から解放されて暫く平坦な道を歩くことができました。それもつかの間、再び垂直と思えるような急な岩場を登りますが、石船山までとは異なりマサ土混じりの急登です。山頂から10分ほどで右に「チャレンジコース@」の札があるので覗いてみるとロープの掛かる岩が見えました。この道は7分ほどで合流しますがすぐ先で「チャレンジコースA」が分岐していました。
 この先は再び巨岩露出の道に変わりました。山頂から23分ほどで石船山を見下ろせるようになりましたが、裏側から見る石船山は岩塊の雰囲気は感じられません。山頂から32分ほどで小さなコブに出たようです。コブからは再び岩肌が荒々しい右田ヶ岳の山頂部が姿を見せましたがまだまだ距離があります。一時平坦になった道が終わると最後の山場とも云える岩場です。振り返ると石船山がはるか下に見え急速に高度を上げたことが分かります。
 石船山から1時間で分岐がありました。案内はありませんが左に小さな赤テープがあり西ノ峯への直登ルートと思われます。分岐は右に進みましたがこの先から望む中ノ峯は断崖です。西ノ峯を巻き始めると岩場から解放されました。ロープが現れましたがこれは補助と云うよりは転落防止用のようです。分岐から6分で西ノ峯と中ノ峯の鞍部に着きました。
 鞍部には「←西ノ峯410m右田ケ岳城趾・石船山↓・中ノ峯428m右田ケ岳主峯→」の案内があります。城趾を覗いてみたい気持ちを抑えて中ノ峯へ向かいました。視界が得られると西ノ峯が姿を見せその奥には西目山もみえました。鞍部から10分で前方が開けて山頂に到着です。登山口からは約2時間でした。

○中ノ峯(山頂)13:17〜展望地13:54
 四等三角点が置かれた標高426mの山頂には「右田ケ岳四二六M」の木柱が立っています。日章旗が翻り鐘も掛けられていました。城趾は西ノ峯とありますが中ノ峯も十分な削平地で二の丸が置かれていたのでしょう。        
 山頂からの展望は素晴しく北側は樹木で遮られていますが東には矢筈ヶ岳や大平山、南は佐波川の河口に広がる防府市街地そして西には西目山や楞厳寺山などが広がります。瀬戸内海の先に四国山地や国東半島が見えるはずですが生憎霞んでいました。
 山頂からは尾根を下る塚原コースと塔之岡コースがはっきりと確認できました。山頂で得た情報では塔之岡コースが整備され展望も良いとのことで大休憩の後は塔之岡コースに向かい下山です。
 すぐロープもありましたが天徳寺コースのような厳しさは感じられません。明るく緩やかな稜線の道をたどると北方向には山口市方面も望めました。東ノ峯への登路がシダの中にありましたが展望の期待できない山頂はパスして左側の巻き道を進みます。
 山頂から10分で塚原コースの分岐で来た方向に「右田ケ岳」、左に「塔之岡登山口」、右に「塚原登山口」の案内板がありました。また「右田ケ岳登山道8合目」の表示もあり、塔之岡登山口のことを「上右田登山口」とも書かれていました。塚原コース下山路を見送り一登りすると再び明るく開けた尾根に出ました。振り返ると右田ケ岳、右手にはずいぶん近づいた矢筈ヶ岳その奥に大平山方面が望めました。
 塚原コース分岐から10分で塔之岡コースの分岐です。来た方向に「右田ケ岳へ」、左が「三谷山方面へ」、右が「塔之岡登山口へ」と案内されています。右の広く明るい道を進むと独特な書体の「もがり笛峠」、続いて「千振り峠」のプレートがあり前方に矢筈ヶ岳方面を眺めながらの下りが続きます。道は木階段が整備されて何の不安もありません。プレートの中には「道標とは 標べは初めて来た人の不安を掃き凌い安全を託す あなたも標べ伴侶や子供の標べです お手本となる標べです」と含蓄あるものも。
 塔之岡コース分岐から10分で木階段が終わり道が平坦となると右手に一基の古い石柱がありました。今は廃道となっているガレ沢下山路のはずなので寄ってみると防府市街地方面が望めましたが、平成21年豪雨災害の発生源と思われる荒ましい土砂崩れ跡が広がっていました。
 ここからすぐ先に「葉椰詩の山小屋」(葉椰詩は、はやしと読む?)とある小屋がけ休憩所がありました。傍らには「ようこそ展望食堂へ でもめにゅうは絶品定食だよ」のプレートがあります。突き出た絶品定食の展望地からは左に矢筈ヶ岳や大平山、眼下に防府の田園風景が広がり右手には右田ケ岳の稜線が見えています。
 
○展望地13:56〜迫にしむら登山口14:54
 休憩所前からは「胸突き坂」と書かれた木階段を一登りしてコブを越えるとすぐ「石畑峠」のプレートです。塔之岡コースの下りに入ると明るく開けて遮るものの無いパノラマコースが始まりした。
 石畑峠の下りは4分ほどで終わり岩が現れると「メインディッシュは素敵な景観」と書かれた見晴らしの良い所に出ました。次いで5分ほどでコースの核心部とも云える急な岩場に入りました。道の整備は良く補助ロープが架けられ、場所によってはステップも切られておりさほど危険な箇所はありません。しかし振り返るとルートはどこかと思うような急峻な下りです。
 休憩所から30分余りでケルンのような石積みの前に出ました。右に下る道が「塔之岡登山口へ」と案内されていますが直進して権現石祠に寄り道しました。石祠と灯籠のある展望地からは佐波川がゆったりと流れる田園地帯、そしてその先には矢筈ヶ岳・大平山を眺めることができました。
 権現石祠から引き返しケルン前から急な道を下ります。前面には土砂崩れ跡が広がっています。この辺りが廃道となったガレ沢下山道の合流点でしょう。ケルン前から7分で二つの手製木橋を渡ると尾根歩きから解放されて穏やかな道に変わりました。橋から10分で道脇に「塔之岡登山道「迫」にしむら口」の道標があり道が分岐しています。右の広い道を進みます。左は塔之岡墓登山口へ連絡すると思われます。この分岐から20分で新しい砂防ダムに出ました。進んで三番目の短い手製木橋を渡るとほどなく「海北迫窯」の作業小屋前に出ました。出たところには山頂への案内がありました。
 窯からすぐ先の舗装路に出るとここにも「海北迫窯・登山道入口」の案内表示がありました。ここを塔之岡コースの「迫にしむら登山口」と云うようです。塔之岡墓登山口はここから少し北上するようです。
 登山道入口からJR防府駅まではタクシーを利用しました。
                    広島里山紀行記



 


  





   

      
  右田小学校(右手)の傍に登山道の案内が       天徳寺参道から石船山が望めます 

   

   
  本堂からの山頂、左上部に突き出た大岩が    10:29 天徳寺奥から登山開始です

     





   
    石の階段がありました   10:38 観音堂に到着

     

      
    天徳寺からも見える石灯籠       10:40 すぐ滑りやすい一枚岩状の花崗岩が





   

      
  山頂まで磨崖仏が次々と      険しく急な岩壁間の登山道を 






  

     
   
  登山道は急速に高度を上げます        岩稜なので足下は安定しています 





         

     
   
  眼下に防府市街と新幹線や山陽道が      天徳寺から見えていた突き出た大岩 

      

      
    大岩の下を潜り石船山へ  


  

   

   
  11:08 石船山に到着、矢筈ヶ岳、大平山が   山頂から右田ケ岳に向けて下山です 

   
 
  山頂からの岩峰右田ケ岳  

       
  
       露岩の道からは西側に西目山の全容が望めました

      





   
     鞍部の穏やかな道かと思ったのですが   すぐマサ土混じりの登路に変わりました

   

  
  振り返った岩の石船山、登山路がみえます   急登が始まりました 

      

      
     岩を越えての登山路です  

         
 
         岩塊の雰囲気が感じられない背後からの石船山です

   

   
  11:40 小さなコブに出たようです   岩肌の荒々しい右田ヶ岳の山頂部が

     

      
    一息つける穏やかな道が現れました      再びマサ土混じりの道を

   

   
     下りに利用すると苦労しそうな道です

   

  
  これぞ右田ケ岳と云う景観です   最後の山場に差しかかったようです 

   

   
  岩稜なので足下は安定していますが慎重に    石船山がはるか下に見えるようになりました

      

      
     姿を見せた断崖絶壁の山頂部      西ノ峯を巻いて山頂へ 





   

      
  12:14 西ノ峰と中ノ峯の鞍部に到着です      中ノ峯へ向けての登り

          
         西ノ峯が姿を見せその奥には西目山、楞厳寺山(りょうごんじさん)もみえました
   


  

      





   
     12:25 右田ケ岳(中ノ峯)に到着しました   四等三角点が置かれています

            
 
            日章旗が翻る山頂です


  
  
  東には矢筈ヶ岳や大平山、南は佐波川の河口に広がる防府市街地そして西には西目山や楞厳寺山などが広がります
 

       

 

   

   
  13:17 塔之岡コースに向かい下山です   ロープもありますが厳しくはありません 

      





   
     明るい尾根道です   13:27 塚原コースの分岐は左に

   

   
  再び明るく開けた尾根に出ました   振り返ると右田ケ岳が

   

   
  右手には近づいた矢筈ヶ岳も   13:37 右の塔之岡登山口へ、左は三谷山方面

         
 
       三谷山の岩峰、矢筈ヶ岳方面を眺めながらの千振り峠の下り。 前方のピークを越えます

   

   
  旧沢コースの入口を進んでみると   土石流の発端部でコースは廃道化していました 

   

   
  13:53 休憩所前から展望地へ   13:54 風情ある展望地です

    
 
    展望地から見晴るかす防府の田園風景 





   

      
  「葉椰詩の山小屋」のプレートが掛かる休憩所      13:57 休憩所からは胸突き坂を登ります  





   

 







   
  ピークを越えると石畑峠の下りです   「素敵な景色」のプレートがある岩場の始まり

   

   
  景観を楽しながらパノラマコースを    右田ケ岳も遠くになりました 

      





   
     コースの核心部を下ります    補助ロープもありますが慎重に

      





   
     ここを下りました。どこがルートだか?   岩場も終わりに近づいたようです

      





   
     難所は良く整備されています   14:29 権現石祠の分岐に降りました

   

   
  権現石祠からは田園地帯や矢筈ヶ岳などを    13:31 石祠分岐から登山口へ下ります

      





   
     前方に土砂崩れ跡が広がっています   14:38 木橋を渡ります

   

   
  14:48 「迫にしむら口」への道標が   砂防ダムの前に出ました 

   

   
  14:54 海北迫窯の作業小屋前に出ました    作業小屋前には盛りのサクラが 
 
             
              
  
 
   
 
   
  窯から1分で登山道入口です  
   
   
   

 

      
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