山 名 | 黒滝山 白滝山 |
標 高 | 350m 270m |
場 所 | 竹原市忠海町 三原市小泉町 |
登 頂 | 2020.2.19 |
アクセス | ○JR広島駅→JR三原駅→JR忠海駅 |
コース |
○JR忠海駅10:19→10:36さくら堂10:45→11:17観音堂11:19→黒滝山11:39 |
メンバー | 美11名 |
過去記録 | H27.2.19 H19.3.13 |
【概 要】
黒滝山(270m)は竹原市、白滝山(350m)は竹原市と三原市の境界に位置する里山です。黒滝山と白滝山は谷を隔てて対峙し黒滝山は奇岩が屹立、白滝山は「八畳岩」と呼ばれる巨大な花崗岩が露頭しています。共に山頂からの眺望に優れ黒滝山からは大久野島、大三島をはじめ芸予諸島が眼下に望まれ、八畳岩は南側に生口島や大三島など瀬戸内海の島々、北側には吉備高原や中国山地の山並みと360度のパノラマが展開します。
両山とも信仰の山で黒滝山はミニ西国三十三か所霊場として観音堂そして石鎚神社分社などが置かれています。また白滝山には小早川一族小泉氏の菩提寺の龍泉寺があり、八畳岩の壁面には江戸時代初期作とされる多数の麿崖仏が刻まれています。
黒滝山から白滝山への登山路には休憩所(さくら堂)や休憩東屋そして白滝山の展望台東屋など良く整備されており格好のハイキングコースとなっています。
○JR忠海駅10:19〜さくら堂10:36
JR三原駅で呉線に乗り換えJR忠海駅で下車しました。ウサギの島として海外からも観光客が増えた大久野島ですが、その人達と共に駅前を右折して県道185号線を東方向に向かいます。興亜橋の手前でフェリー乗り場へ向かう観光客と別れ、興亜橋を渡った信号機の所にあるガソリンスタンドで左折しました。ここには「黒滝山登山口」の大きな案内板が掲げられています。
ガソリンスタンド先にある案内に従い右折すると民家の壁面に「黒滝山登山口→」と「健康への道100選」の案内板がありました。昔の面影を残す家並みを抜けると防火水そうがあり、ここにも「黒滝山登山道→」の案内板があり目の前に観音堂と石鎚神社の岩峰が見えています。
狭い坂道を登ると地蔵院の山門とソテツの大樹がみえてきました。ソテツは「臥竜のソテツ」で樹齢約600年の古木です。ソテツ以上に驚いたのは1300年代建立(パンフ「黒滝山を愛する会」)とされる忠海随一の古刹地蔵院が鐘楼を除いて影も姿も無いことでした。「平成30年7月6日 西日本災害之碑」の石碑があり土石流により倒壊したようです。
地蔵院から土石流跡の残る墓地を抜けると農免道路に出ました。右に進みV字型に折り返えすと「←黒滝山登山口」の案内があり、舗装道を登って行った先にバイオトイレがありました。第14番石仏がありその上が休憩所のさくら堂です。
○さくら堂10:45〜観音堂11:17
さくら堂は地元の人の憩いの場らしく今回も地蔵院の話などを聞くことができました。眼前に大久野島や忠海の街並みが広がる展望所で黒滝山の説明や石仏の画像などが展示されています。
さくら堂から2分ほど先の分岐が実質の登山口で左が「←白滝山3km」、右が「黒滝山1.8km→」とあります。右折して黒滝山方向に向かいました。広い道を進むと4分で「乃木将軍腰掛の岩」で、乃木将軍が明治39年に来忠した折りに眺望を絶賛したとの解説板が立っており眼下に忠海駅や大久野島などが望めます。さらに3分で水が絶えることの無いという霊水池で第6番石仏が置かれています。そして青く塗られた休憩舎を過ぎ舗装路を登ると霊水池から2分で「平山郁夫画伯スケッチの場」とある岩で、スケッチされた瀬戸の風景が広島県立忠海高校講堂体育館の緞帳になったとの説明がありました。
スケッチの場から勢至菩薩の石仏、観世音の祠を見送るとくぐると幸福が訪れるといわれる2基のミニ鳥居「幸福の鳥居くぐり」があります。石畳と階段の道を進み十三仏を過ぎると鳥居から4分で三番目の休憩東屋です。真正面に忠海港と大久野島そして大三島とすばらしい景観が広がります。
休憩東屋の先はしばらく舗装された尾根道となり、明るく開けた道の左前方には石鎚神社が祀られている奇岩起立する岩峰と観音堂が見えています。休憩東屋から9分で観音第19番石仏と黒い目がはめ込まれ一見亀にも見える「長寿の亀岩」とある岩です。亀岩と子宝観音の案内を見送り丸太の階段を登ると「←観音堂・山頂ひろば→」表示の分岐です。
分岐を左折するとすぐに岩峰直下の観音堂と鐘つき堂に着きました。750年頃の建立と云う観音堂にはベンチもあり休憩適地で眼下には大久野島、大三島を始め瀬戸の島々そして鏡面の海が箱庭のように目の前に広がっています。
(*「山頂ひろば」は観音堂から5分余りの距離で、宗忠神社と天照大神が祀られベンチと展望東屋があり観音堂同様の景観が展開します。分岐から5分で黒滝山頂です。)
○観音堂11:19〜黒滝山11:39
観音堂から引き返すと左手に「黒瀧山石鎚神社」の扁額の鳥居があり岩壁に鎖が垂れています。黒滝山は石鎚神社分社も祀られる行場の山で石鎚山と同じように鎖場があります。鎖場には一の鎖と二の鎖があり登ると鎖と鎖の途中に石鉄山大とある祠がありました。
登りきると分社祠の直下に出ました。急斜面の岩を一登りすると岩峰ピークです。石鎚神社と書かれた石碑と石造りの祠があり、中には半分折れたような石板とご神像が祀られています。祠の先は正真正銘遮るものがない景観が広がります。左に生口島、愛媛県大三島その前には大久野島、右側遠くに大崎上島も見えています。
黒滝山の山頂部は南北に三つのピークが連なり一番南側が石鎚神社の祠、一段高い中央は出雲大社の祠がありそして一番北側のピークが黒滝山の山頂となります。展望を楽しんだ後は中央のピークに向かい大峯神社、出雲大社の祠に着きました。振り返ると石鎚神社の祠はなかなかの岩塔に鎮座しています。出雲大社の祠からは最北端のピークである山頂に向かいます。
○黒滝山11:40〜12:23八畳岩12:53〜白滝山12:54
黒滝山の山頂には大岩があります。ただ「黒滝山を愛する会」の柱は残っているものの以前あった山頂の案内表示は見当たりませんでした。この岩にも29番の磨崖仏がみられます。
山頂直下には「←白滝山」の案内がありました。他に「山頂・観音第27・28・29番」もあるので覗いてみると左手が山頂で右手に28番磨崖仏がありました。
すぐ右下には稲荷の祠がありますがそのまま通過します。北方面には白滝山が望めますが崩落やブルーシートも見えます。間もなく丸太の階段と手すりの急な下り道が続き、山頂から15分ほどでさくら堂への巻き道分岐に出ました。分岐には来た方向に「黒滝山山頂→」の案内がありました。
分岐からは樹林の中の快適な尾根道を進み8分で尾根の分岐に出ました。左折方向には「←黒滝山まで(0.5km)・駐車場まで(0.6km)→」の道標が立っています。(*右折の道は堰堤を経由し展望台東屋を経て龍泉寺に至ります。過去記録:平成27年2月参照)
左折して駐車場に向かい穏やかな道を12分ほど進むと駐車場の東屋に着きました。東屋の横に「黒滝山まで1.1km」の標柱が立ち三原市小泉からの舗装道路が登ってきています。
東屋の向かいが白滝山への登山口となり大きな石像と「瀬戸内海国立公園・白滝山」の案内板が立っています。舗装路を上がって行くと大岩に「国立公園白瀧山乾坤第一峰」と刻まれていました。10分ほど崩落跡もみられる舗装路を進むと龍泉寺入口で「曹洞宗
白瀧山 龍泉寺」と刻まれた石標が建っています。長い石段を登った先の龍泉寺は小早川一族小泉氏の菩提寺で元禄5年(1692)に曹洞宗に改宗した寺であるとされます。本尊は平安時代の十一面観音菩薩だそうです。本堂の左側には六地蔵も置かれていました。
龍泉寺の左手から「←白瀧山山頂160m」の標柱をみて石鳥居を潜ります。石仏の並ぶ道を進むと八畳岩が見えて岩塊上に置かれた真新しい羅漢像が目につきます。そして最初に出あう磨崖仏が雲に乗った釈迦三尊像で江戸時代初期の作と云います。続いてインドの石造彫刻を思わす十六善神磨崖仏でこれらの磨崖仏群には圧巻、圧倒されます。
磨崖仏を見ながら岩塊を左に回り込むと八畳岩の前に出ました。刻まれたステップを踏んで登った巨大な花崗岩の八畳岩からは360度の大展望が得られます。南側には眼前に大久野島、そして多々羅大橋で繋がった生口島や大三島、大崎上島をはじめとする芸予諸島など瀬戸内海の島々、東にはかすかに長大な裾をひく野呂山、北側には広島空港や本郷の町、三原市街そして吉備高原や中国山地の山並みが広がります。
大休憩の後は白滝山の山頂に向かいます。
○白滝山13:01〜JR忠海駅14:07
山頂一帯は東西に細長く尾根が伸びた地形で「瀬戸内海国立公園・白滝山山頂・標高342m」の標識が設置されています。鐘突堂が立ちその先には「火伏せの神・秋葉三尺坊大権現」と書かれたお堂もありました。(*火伏せの神は山岳信仰と修験道が融合した神仏習合の神で、京都の愛宕神社と静岡県の秋葉山神社が有名で各地に勧請されているようです。)
下山は往路をたどります。(*下山ルートは前回利用の龍泉寺から左手に下り展望台を経て「白滝山登山口」に出て堰堤経由で黒滝山に至るルートもあります)
龍泉寺から山門正面の階段を下り舗装道を東屋、駐車場に向かいます。東屋横からの道は大きな起伏もなく快適に歩を進めて10分ほどで「←黒滝山まで(0.5km)・駐車場まで(0.6km)→」導標のある分岐に戻りました。
右折し10分で黒滝山とさくら堂との分岐に着きました。山腹を巻く穏やかな道を進むと分岐から10分足らずで「←白滝山1.8km・下山路→」の道標があり、左には観音仏参拝の良い道が上っています。この先から木階段を降ります。
「下山路→」の案内から3分で第17番石仏、9分で竹林を抜けると第15番石仏、そして12分でさくら堂に到着しました。
さくら堂前の農免道路を少し西進して畑中のコンクリート道を下ります。瀬戸内の穏やかな景観を前にしての道はどうやら参道のようでした。防火水そうの「黒滝山登山道→」案内板の所に戻りガソリンスタンドと興亜橋を経てJR忠海駅に帰着しました。
広島里山紀行記