高山(190.2m)は三原市本郷町に位置する中世の山城、高山城趾(1206年〜1552年の346年間に亘る小早川氏の拠点)です。山頂一帯は全国有数の規模と云われる広大な山城跡で、谷(馬場跡)を挟んで北南二つの尾根から構成され北側は本丸、二の丸、北の丸、扇丸(寺屋敷)などそして南側は権現丸(高野丸)、いわお丸(千畳敷)、西の丸、南の丸などの郭群があります。三角点(190.2m)は地形図に山名はありませんが権現丸に置かれています。
標高は高くないものの適度な起伏で結ばれた郭跡は格好なハイキングコースで、登山路は大きく南側の塔之岡コースと東側の高坂コースとに分かれ、高坂コースは搦手道と三尺道の2ルートがあります。
今回は歩きやすい三尺道ルートで登り北尾根から南尾根を経て塔之岡コースで下山しました。ただ前回の2018年登頂時に比べて特に北側尾根は導標類の風化、破損が進んでいるようでした。
○JR本郷駅〜高坂コース登山口
JR本郷駅北口から東下岡の住宅地を抜け県道50号に出て新幹線の高架橋を潜ります。高架橋から約200m程進んだ左手の舗装道を上るか、またはそのまま県道を北上し芸陽バス下二(しもに)バス停向かい側の階段を上ります。(バスの数便は少ない)
山手に向けて高坂真良集落の舗装路を上ると高坂コースの入口で、ここでコースは三尺道ルートと搦手道ルートの2ルートに分岐します。
今回の三尺道ルートは最初の分岐で左にとります(右は搦手道ルート登山口の高山墓園へ連絡します)。さらに左に進んだすぐのお堂先の分岐も左です(右は約100m先で搦手道ルートへ)。
○高坂コース登山口〜イワオ丸
三尺道ルートの取り付きは登山口案内も無く雑草も茂って一寸途惑いますが、三尺道と云われるだけあってすぐ広い道になりました。落ち葉に覆われた道をジグザグに登って行くと、左手に美しい尖鋒の毘沙門山が見えその奥に本郷の街が広がっています。篠竹がうるさい所もありますが、進むと標柱から外れ地面に置かれた「←扇ノ丸跡」の案内板がありました。左に一登りすると「扇ノ丸跡」の案内板がある扇の丸平坦な郭跡です。
三尺道に戻り進むと今度は倒れた「←本丸跡」の導標がありました。この地点は北側の尾根(本丸、二の丸など)と南側の尾根(イワオ丸、三角点の権現丸など)との分岐になります。
「本丸跡」の道標が立つ高山城の本丸は中心郭らしくクヌギの落ち葉に覆われた広い平坦地です。ただ展望は樹木に遮られて今一つでした。本丸跡でしばらく辺りを散策した後、北上して北の丸に向かいました。
「北ノ丸」の導標が立つ北の丸は本丸に劣らず広くて東西に伸びた平削地です。展望は北側の船木方面に少し得られました。前回は北の丸からは西の丸に向かいましたが、今回は南下して二の丸、中の丸を経て本丸に戻り、改めて南側尾根のイワオ丸に向かうことにしました。二の丸は「二ノ丸跡」の導標が立つ広い平削地でここもクヌギの落ち葉で覆われています。中の丸は導標が見当たらず確認できませんでした。再び本丸に戻った後、南側尾根のイワオ丸に向かいました。本丸から鞍部に下り登り返すとイワオ丸です。
○イワオ丸〜塔之岡コース登山口
イワオ丸(千畳敷)は広い郭跡で朽ち割れて判読できない標識が置かれていました。中央部に大きな露岩があり、その裾には水貯めを思わす小池もみられました。イワオ丸は他の郭に比べ展望がよく、眼下に沼田川やJR本郷駅を始め本郷の街並みが一望できます。
下山は塔之岡コースですがその前に高野丸(権現丸)に向かいました。イワオ丸から少し北上すると東西に細長い地形の平削地の高野丸です。中央部の小高い丘に三等三角点が置かれ、標石の傍らに「高山城 標高190m」のプレートがありました。三角点からは北方向に谷を隔て北の丸や本丸を眺めることができます。
三角点から引き返し改めてイワオ丸から下山しました。すぐ左手に西丸?でしょうか案内類はありませんが平削地がありました。本郷の町並みを見下ろしながら明るい道を降ると分岐です。
分岐には一部破損していますが案内導標があり、そのまま直進すると「←イワオ丸・本郷小学○○」で前回の健脚コースです。右手に降れば「本郷小学校・本郷駅(途中で合流)→」とあります。
前回は直進しましたが、今回は右にUターンして本郷駅を目指しました。山腹を巻く道は一部にはロープもありますが良い道が降ります。建物跡らしき場所をみると一転し道は急になり、判然としない雑木林の中を道を降ることになりました。
途中、健脚コースの合流点を過ぎると最深部の民家に出ました。塔之岡コースの登山口ですぐ先のカーブミラーに「←高山城跡登山口」、「この先行止まり」の案内があります。住居表示は「本郷北四丁目17」とありました。
住宅地の中を道なりに下り、ふれあい公園を過ぎた所にも高山城跡登山口の案内がありました。本郷小学校の前を過ぎるとJR山陽線に出ました。渡って左折すればJR本郷駅正面ですが、踏み切りの手前で左にとり駅北口に帰着しました。
広島里山紀行記