大竹市玖波町の行者山(313.5m)は四等三角点が置かれた里山です。信仰の山で麓には石鎚神社があり山頂には頂上社が祀られています。また中腹には行者堂もあります。
三角点は木立に囲まれて展望には恵まれませんが、南側の頂上社の前からは宮島などの島々が浮かぶ瀬戸の多島美や大竹岩国の臨海工場地帯を望むことができます。また北側に回れば西に大鉢山、忠四郎山、北に傘山、権現山、東に経小屋山などが展開します。
山頂から10分ほど北上したピーク、玖波槍(301.9m)からは行者山以上の展望が開けます。穏やかな瀬戸内海と宮島や阿多田島など島々、西に大鉢山、東に経小屋山と眺望が広がります。
行者山はJR山陽本線玖波駅を利用できるため手軽なハイキングコースとして親しまれています。
今回は大歳神社の登山口から石鎚神社を経て行者山、玖波槍に登り西山社の登山口に下山するルートでした。
○JR玖波駅9:59〜石鎚神社10:26
JR玖波駅西口から清流、恵川沿いに10分ほど歩き山陽道(広島岩国道路)高架を潜った先が大歳神社の登山口です。右が大歳神社
の社叢、左が玖波五丁目老人自治会集会所で「←行者山」案内に従ってその間の細道を進みます。
民家の間の細いコンクリート道を穏やかに登りますが、その後も7分、2分、1分と頻繁に現れる「←行者山」の案内が無ければ戸惑いそうです。「大竹山の会」のボランティア活動に感謝です。
人家が途絶え畑作地を過ぎて薄暗い林に入ると大歳神社から15分で「←行者堂・行者山」の案内がある分岐
です。直進すれば行者堂を経て山頂に向かう西山社側の登山路に至ります(前回下山に利用)。
今回は石鎚神社の頂上社参道を利用するため石鎚神社に向かいます。分岐からUターン気味に右折し長い石段を登って石鳥居を潜ると石鎚神社の社殿です。
○石鎚神社10:36〜行者山11:30
神社に参拝し服装調整後に山頂に向かいました。境内右手の建物の裏側に回り込むと階段が登っています。ここが実質の登山口になりますがとくに案内などはありません。登るとすぐ開けた明るい参道に変わります。古瓦を利用した階段が続きますが、足下はコシダに覆われ注意が必要です。8分も登ると展望が得られて正面に宮島が姿を見せました。登山口から10分で平坦地があり一息つきました。登山口から20分もすると穏やかな道は一転して急な岩の道となりました。
岩道を登ると登山口から20分余りで「行場入口 山頂社迄1500米」と「一の鎖(天狗の力水) 頂上社迄1200米」のプレートが現れました。行場入口
プレートの方へ進んでみると奥には水場があり、その先は行場とあるだけに進入困難と思えました。
引き返して一の鎖の方に進みます。一の鎖を過ぎ一段と険しくなった道を5分で二の鎖です。この先にはとくに危険では無いものの岩肌に架けられた鎖もあります。二の鎖から5分で眼下に玖波の町並から大竹方面の展望が開けました。再び視界が閉ざされ薄暗い樹林に入り、二の鎖から13分ほどで三の鎖
です。三の鎖を過ぎると視界が開けウラジロの深い道を登ると尾根に出て「石鎚神社参道」の表示がありました。
展望が開けて左に三の鎖の掛かる岩壁そして経小屋山や宮島、阿多田島などが浮かぶ海が広がっています。尾根に出て山頂をめざすと3分ほどで再び「石鎚神社参道」の表示があり、左から西山社コース
が合流しました。視界が得られて大竹方面が望めました。コシダの茂るマサ土の滑りやすい道を7分ほど登ると赤い屋根の頂上社が見えてきました。
○行者山12:19〜西山社13:23
到着した山頂には「頂上社 石鎚神社」の石柱があり頂上社が祀られています。南方向に開けていますが展望は木立に遮られて意外に狭くなっています。眼下に大竹岩国の臨海工場地帯が望め、穏やかな瀬戸内海には阿多田島など大小の島々が浮び周防大島も見えています。
頂上社の裏側に回ると四等三角点が置かれ「行者山山頂 313.5m」のプレートが立っています。ただ木立に囲まれて展望はありません。
下山は三角点から玖波槍に寄り道した後、西山社を目指します。
三角点から北に進むと展望地で西側に大鉢山、忠四郎山、北に傘山、権現山、東に経小屋山など山並みが広がり宮島の先には広島市街もみえています。
展望地の「←傘山・玖波槍」案内に従い玖波槍に向かいますが、急で滑りやすいマサ土の道となります。7分ほどで着いた分岐には案内図があり、左手(西方向)は西山社への道で「←錦竜公園・メイプル病院」と書かれ、直進方向が「↑傘山・玖波槍」とあります。
分岐から玖波槍に向けての急な道を下ると3分ほどで鞍部に降りました。鞍部からまた急登を登り返すと玖波槍の大岩が迫ってきます。大岩を右に回り込むと玖波槍で樹幹に「玖波槍301.9m」のプレートが掛かっています。他に「玖波槍300m+α」と「←行者山・傘山→」のプレートもあり、北側に傘山へのコースが下っています。
岩のピーク、玖波槍は行者山以上の展望が開け、宮島や阿多田島など瀬戸内海と島々、西に大鉢山、東に経小屋山と眺望が広がります。展望を楽しんだ後は再び分岐に引き返し西山社方面へ下山します。
分岐からは「←錦竜公園・メイプル病院」の案内に従い西方向に下りました。1分ほど下ると展望地で大竹方面が開け臨海工場地帯が望めます。この先は視界の無いマサ土の急な下りですが、緩んで来ると分岐から20分ほどで遊歩道に降りました。
下りたのは峠登山口と云われる所で「↓行者山」、「←玖波方面」、「憩の森→」の導標が立ち、憩の森や展望台方面へ向かう広くなだらかな遊歩道が延びています。
西山社に向かうため南方向の玖波方面に下りました。3分ほどで視界が得られ宮島が顔を見せました。左下に谷を見て15分ほど下ると西山谷川の上流部に降りました。小さな涸れ沢を越えると「←憩の森・玖波駅→」の導標が現れました。辺りは倒木も見られ少し荒れ気味です。大小の石に覆われた西山谷川の左側をたどると、導標から7分ですっかり埋まった砂防堤上部に出ました。擬木階段を下って砂防堤下部に降り、谷川沿い3分ほど歩くと西山社の脇に出ました。
西山社の石垣には古い「←憩の森」と「通行注意・この先崩落個所あり」のプレートが架かっていました。またここは西山社コース登山口で「行者山→」の案内があり、石鳥居を潜って行者堂を経て山頂に向かうコースが登っています。
西山社から5分でメイプルヒル病院前に着きました。傍らにトレッキングロードの案内板が立っていますが、憩の森の案内で行者山への登山路は記載されてません。案内図では峠登山口まで1050mとなっています。
メイプルヒル病院から自動車道高架下を潜って道なりに10分ほど歩きJR玖波駅西口に帰着しました。
広島里山紀行記