山 名 | 前峠山・三剱山(焼山) |
標 高 | 423m 490m台 |
場 所 | 広島県廿日市市宮島町 |
登 頂 | 2022.11.16 |
アクセス | 広電五日市駅→広電宮島口駅→フェリー乗り場→宮島桟橋 |
コース | ○9:10大元公園9:23→9:31前峠山登山口→11:06前峠山 ○11:09前峠山→12:12三剱山 ○13:14三剱山→13:25鞍部→大元コース登山口→14:52大元公園入口 |
メンバー | 美・山の会 9名 |
過去記録 | H28.2.3 |
前垰山(まえだおやま)(423m)と三剱山(通称:焼山)(490m台)は共に地形図に山名の記載はありません。
今回登った両山は島南西部に位置し観光地化された弥山などとは山容が一変しています。宮島観光協会紹介の大聖院コ−ス、紅葉谷コ−ス、大元コ−スからも外れているため、登山口の案内などは無く最低限の補助ロープを除くと階段などの人工物も無いハードな山歩きとなります。
前峠山は直登、急登に加えてシダが茂り倒木を潜ったり跨いだりの難路ですが、点在する大岩から弥山とは異なった位置から眺められる対岸の景観が魅力です。前回の平成28年に比べると道も踏まれ利用者の増加が感じられました。また新たにロープ、ルート案内、山頂表示などの設置がみられました。
三剱山は平成4年の山火事後は良い展望が得られていましたが、今では植生も回復しましたが結果的に展望も損なわれてきました。それでも山頂部に点在する大岩の上に立てば北側は大野瀬戸、対岸の経小屋山(596.6m)、広島湾などがそして南側は弥山、先峠山、瀬戸内海と眺望を楽しめます。
今回は大元公園から前峠山を経て三剱山に登り、大元コ−スで大元公園に下山しました。このコースは観光地宮島のイメージからはほど遠い自然の姿を残す宮島をみることができました。
○前峠山登山口9:31〜前峠山11:06
改修工事により様変わりした宮島口から10分間のフェリー船旅で宮島桟橋に到着しました。コロナ禍で全く人影の無かった宮島ですが修学旅行生、外国人と予想だにしなかった観光客の多さにびっくりです。
3年半に及ぶ大規模修復工事を終えて鮮やかな朱色を取り戻した大鳥居を間近に見学した後、登山口の大元公園に向かいました。
「特別史跡及名勝 厳島」の石柱を見て大元公園に入り、大元神社(国指定重要文化財)の前を進みます。海岸近くの植生としては珍しいとされるモミの大樹が点在する公園も早朝で人影は見られません。
深山の趣きのする園路を奥に進むと「←弥山登山道(大元コース)・駒ヶ林」の導標と「瀬戸内海国立公園 都市公園(宮島) 大元園地」の看板があり、続いて大元コースである「弥山道」の石柱と「瀬戸内海国立公園(宮島)」の看板があります。この「弥山道」は下山に利用します。
弥山道石柱から3分の所で道は二分します。直進は大元川沿いの前峠への登路で、右側に分岐する道が前峠山の登山口となります。ただ分岐辺りには案内や目印は見当たらず多少分かり難いかも。
登山口に入ると枯れ枝が散乱していますが、思いの外に広くてなだらかな道が登っています。10分余りで小さな尾根に出ました。この先は倒木や枯れ枝が多数散乱しマイナーなコースを予想させます。登山口から25分で初めて「←前峠山」と記されたテープがありました。
穏やかな道もこの先からはコシダの深い急な登りにと変わりました。このシダの道は山頂まで続くことになります。登山口から30分ほどで視界が得られて大鳥居を俯瞰できました。登山口から38分ほどで前回、6年前には無かった補助ロープが現れました。足元も定かで無いほど深かったコシダの道も随分と荒れたようで歳月を感じさせられます。
ロープを過ぎると視界が一気に開け宮島口から広島湾へと展望が得られました。登るにつれ次々と大岩群が現れて展望も楽しむことができます。
登山口から1時間ほどで前回は無かった「←展望岩・→↓大元公園、水族館方面・前峠山 山頂 急勾配続く→」のプレートがありました。展望岩は休憩適地で景観は素晴らしく248mピークを目の前にして対岸の船倉山から駒ヶ林までと展望が広がります。
山頂に向い高度を上げるに従って迫り来るように駒ヶ林と三剱山が見えてきました。展望岩から20分もすると眼前に前峠山が立ちはだかって来ました。
一旦軽く下り大岩の右側に沿って急斜面を登ります。前回は難儀した急斜面にも真新しい補助ロープが設置されていました。登り切って左手に方向を転じるとすぐ前峠山山頂に到着しました。
○前峠山11:09〜三剱山(焼山)12:12
山頂には三角点は無く代わりに測量用と云われる石柱が立っています。新しい「前峠山423M」のプレートと前回もあったCDがぶら下っていました。展望は小径木に囲まれ期待できませんが、二つの大岩があり西側の岩からは大竹方面が望めました。
展望の無い山頂を後にし三剱山を目指すと下山口からすぐ急降下が始まりました。相変わらずのシダの道ですが、急傾斜に加えて滑りやすく想像以上の難コースと云えます。すれ違ったソロ登山者は山の選択を間違ったとこぼしていました。急速に高度を下げていきますが、ときおり眼前に現れる三剱山と駒ヶ林の岩肌は相当な迫力です。
山頂から20分余りで急下りが緩むと左手から大元川沿いのコースが合流しました。さらに1分で三剱山への登山口となる前峠に到着です。前峠は三叉路で直進(東方向)は三剱山で、右手(南方向)は岩船岳へのルートが下っています。
登山口にはテープの他に案内類は見当たりませんでした。3分ほどで垂直に立ち上がる岩壁の裾に突き当たりました。岩壁沿いに岩場を登ると2分ほどで補助ロープが現れ、続いて2分で二番目のロープです。この辺りは観光地化された弥山近辺とは別の宮島の顔を見せています。
岩場登りが終わって振り返ると目の前に前峠山が見えています。さらに登ると塀のような岩が立ちふさがるので、左手に進んで狭い岩の間をすり抜けます。
この先は大岩がゴロゴロと点在する道となりますが特に難所はありません。シダも見られる樹林を進み、山火事の痕跡である炭化した枯れ木が現れてくると三剱山山頂に到着です。
○三剱山(焼山)13:14〜大元公園入口14:52
山頂にはとくに山名を示すプレート類は見当たりません。大岩が低潅木の間に南北二個所にあります。北側のテーブル状の岩からは前峠山そして対岸の大竹、大野浦、経小屋山から広島湾へと展望が広がります。南側の岩からは弥山、先峠山、三つ丸子そして奥には岩船岳も見えていました。背後には小黒神山などの島々が浮かぶ瀬戸内海が広がっています。
下山は大元コースとして東側に下ります。岩の脇を抜けるとすぐ超急降下の大変滑りやすい道となります。2分ほど下った駒ヶ林の展望スポットに寄り道しました。眼前の幅400m、高さ80mと云われる駒ケ林の岩壁には圧倒的されるばかりで、左手には厳島神社、右手には弥山から能美島そして小黒神島と絵のような景観が広がっています。
難所の岩場を下ると山頂から10分足らずで駒ケ林と三剱山との鞍部に下りました。鞍部は弥山方面からの道が合流し「←弥山、駒ヶ林・大元公園→」の標柱と「天然記念物指定地域境界標第四号」の文部省碑が立っています。
導標に従い大元公園に向かうとすぐ石の階段が始まりました。このコースは弥山詣での参道のため大元公園まで石段が続きます。
急な石段をジグザグに6分ほど下ると「←弥山、駒ヶ林・大元公園→」と「岩屋大師」の導標がありますので岩屋大師に寄りました。石段を下ると大岩の間に口を開けた岩屋がありました。腰を屈めて薄暗い洞窟のような岩屋に入ると広い空洞の奥に数体の石仏が祀られていました。
岩屋からは圧倒されるようなほぼ垂直の駒ヶ林の大岩壁の下に出ました。急な石段を下ると10分余りで石造りの大師堂の祠で傍に風穴と呼ばれる空洞があります。
大師堂を過ぎて水子地蔵尊を見送る辺りからは一層厳しい道が続きます。大岩が目立つジグザグの急な参道を下るとおむすび形状をした富士岩に出ました。富士岩の裾を捲いて下ると「←弥山、駒ヶ林(2.6km)・大元公園(0.8km)→」の導標がありました。導標を過ぎるとようやく道は緩んで、「天然記念物 弥山原生林」の石柱辺りからは大元岩海と云われる無数の巨岩群が現れてきました。
舗装路が現れると公園領域です。橋を渡ると往時に確認した「瀬戸内海国立公園(宮島)」の案内板と「弥山道」の石柱がある大元コース登山口に出ました。園路を下り「特別史跡及名勝 厳島」の石柱が立つ大元公園入口に帰着しました。
広島里山紀行記