山 名 | 鷹ノ巣山(鷹巣高砲台跡) |
標 高 | 194m |
場 所 | 広島県廿日市市宮島町 |
登 頂 | 2020.6.17 |
アクセス | ○JR宮島口駅(広電宮島口駅)→ フェリー乗り場→ 宮島桟橋 ○包ヶ浦バス停→宮島桟橋 |
コース | ○博奕尾登山口8:56→博奕尾9:25→包ヶ浦自然公園10:45→鷹ノ巣山登山口10:50 ○鷹ノ巣山登山口10:50→11:18鷹ノ巣高砲台跡11:37→山頂11:48 ○山頂12:42→包ヶ浦自然公園13:35→宮島桟橋14:12 |
メンバー | 14名 |
過去記録 | 2018.2.7 |
【概 要】
鷹ノ巣山(194m)は広島県廿日市市宮島町の東端に位置します。宮島の登山対象の山としては弥山、駒ヶ林そして岩船岳などが一般的で鷹ノ巣山(194m)は登山コースから外れたマイナーな存在です。山頂は樹木に囲まれて眺望は期待できませんが、直下の遺構からは東の厳島海峡側が少し開けて鷹ノ巣浦と絵の島、大奈佐美島(おおなさみじま)が望めます。
鷹ノ巣山は山稜部にある鷹巣高砲台跡が知られ神の島宮島のもう一つの姿を見ることができます。ネット情報を総合すると鷹巣高砲台は日露戦争に備え明治33(1898)年に完成しますが大正15(1926)年に廃止され、その後終戦まで一帯は軍事施設として立入は禁止されていました。
ちなみに宮島には広島湾要塞として鷹巣高砲台の他にも鷹巣低砲台、室浜砲台の遺構がみられ高砲台はその中で最も規模が大きいものです。ただ鷹巣高砲台は比較的保存状態が良いものの観光地化されていないこともあり一部では崩壊も進んでいます。
今回は博奕尾を経て包ヶ浦自然公園に入り鷹ノ巣登山口から山頂を目ざしました。途中に案内表示類はありませんがとくに問題となる個所はありませんでした。
○宮島桟橋8:42〜登山口8:50
コロナ禍で極端に乗客の少ないフェリーで宮島桟橋に下り立ちました。
桟橋前広場を左折し3分ほど進むと直進が「包ケ浦自然公園」、右折が「紅葉谷」の案内板があります。
今回は包ケ浦自然公園から鷹ノ巣山に向かいますが、博奕尾経由で包ケ浦自然公園へのルートをとるため紅葉谷の方に進みます。
市街地からの合流点で「もみじ谷、ロープウェイ・包ケ浦、杉之浦・桟橋」や「うぐいす歩道」の道標をみて大きく左に回り紅葉谷、ロープウェイへの舗装道を進みます。
桟橋から6分でうぐいす歩道と石畳道(旧軍用道路)の分岐に出ると右手は「もみじ谷公園へ」、左の石畳道は「杉之浦へ」の道標があります。
石畳を2分で道を横切る溝ふた(グレーチング)と電柱があり、すぐ先で石畳がアスファルト舗装に変わっています。この地点が博奕尾への登山口になります。案内表示類はありませんがリボンが下がっています。
右手に登るとマサ土の露出した小スペースで工事中の朱の大鳥居がみえています。
○登山口8:56〜包ヶ浦・弥山分岐9:39
登山口から6分で林道崩れのような幅広の道に出て右折します。小さなテープがありますが下山には見落とさない注意が必要です。すぐ先でまた幅広の道に出て左折しさらに登ると登山口から9分でマサ土の小スペースに出ました。
右折しコシダの道を登ると尾根道に出ました。倒木なども見られますが幅広の穏やかな快適な道です。木立の切れ間からは大鳥居や大野瀬戸、大聖院などそしてロープウェーと獅子岩展望台、弥山、駒ケ林など眺めることができました。
尾根道を軽く下ると紅葉谷ルートと合流し「←もみじ谷公園・包ケ浦自然公園→」の道標が立っています。登山口からは27分でした。
合流点のすぐ先が1555年の博奕尾で厳島合戦要図や合戦の説明板そしてベンチが置かれています。この先は包ケ浦自然公園ルートとして整備された道を進みますが視界が得られると大野瀬戸を望めました。8分でベンチ、次いで5分で「←包ヶ浦自然公園30分」と「←弥山登山」の道標がある分岐に到着しました。
○包ヶ浦・弥山分岐9:39〜鷹ノ巣山登山口10:48
右手に弥山への博奕尾コースが登っていますが左手の水平道に入ります。
シダが覆い被さる狭い道を4分でベンチがあり、「←もみじ谷23分・包ヶ浦自然公園27分→」の標柱が立っていました。
しばらくは樹林の薄暗い道ですが抜けるとコシダの明るい水平道で212mピーク(杉之浦山)を巻きながら進みます。時折、対岸の経小屋山や船倉山などの山並みを眺めることができました。弥山分岐から15分ほどでベンチがあり小休止です。
ベンチから2分で右にテープがあり「杉之浦山」の踏み跡が登っているので寄り道してみました。コシダの勢いが強く山頂部も樹林のようで断念しましたが博奕尾根が目の前に広がっていました。
道は次第に下りに変わり視界が得られると江の島や大奈佐美島、江田島、能美島そして眼下に包ヶ浦自然公園が見えてきました。さらに目的の鷹ノ巣山も見えているようです。
やがて視界の無くなった急な下り道はUターン気味に急降下して薄暗い広葉樹林へと入りました。大樹の林の中、谷川の左岸に沿って下って行くと前方が開け包ヶ浦自然公園エリアに入りました。ここには「←包ヶ浦キャンプ場0.2km」と「包ヶ浦自然公園配置図」が置かれていました。弥山分岐から30分ほどでした。
左に包ヶ浦火薬庫跡とされる建物を見送って、団体用ケビン地区の中を進むと車道に合流します。右折してキャンプ地とテニスコートの間を進みます。テニスコート横で右に小さな橋を渡ってキャンプ場内に入ります。場内のトイレ棟の裏側でもう一度小さな橋を渡ってキャンプ場の外に出ると山裾に沿った道に合流します。
右手の樹幹に「境界見出標 国有林」と書かれた赤い小さなプレートがあります。道を塞ぐような倒木数本を越え狭まった道を進むと小沢に出ました。キャンプ場からは3分ほどです。
(*または少し回り道ですがキャンプ地とテニスコートの間を南に直進し公園を出た所で右手の山際の小径に入ります。目印は広島営林署の「ゴミは絶対捨てないで下さい」と書かれたプレートです。進むと同様に小沢に着きます)
○鷹ノ巣山登山口10:50〜鷹ノ巣山11:48
登山口の案内表示類はありませんが沢手前の頭上に赤テープが下がり、渡った所にもテープがあります。
渡ったところは平坦地ですがすぐ小尾根へ向けての直登が始まります。急登も5分ほどでこの先は斜度も緩み、花崗岩の岩やマサ土も無くシダの茂る明るい尾根道に変わりました。観光コースの登山路とは異なる新鮮な景観です。
右手は深い樹林が屏風のようにそびえる博奕尾根で、はるか先に包山とかや谷410m台ピークが見えています。振り返ると包ヶ浦自然公園が眼下で対岸の廿日市、五日市の市街や山並みが広がっています。
登山口からは20分余り鷹巣高砲台エリアに入り、ネット情報で装薬調整所跡とされている広場に出ました。
広場の左手から砲台跡(150m台)に直接入れますが、高い位置から全体像を把握するため右手の山道に入りました。一登りすると石段の下に砲台跡が見えてきましたが残念ながら樹木が視野を遮り全体像は確認できませんでした。西に進んで大休峠への進入ルートを確認して引き返します。
急な石段を降りて砲台跡に入りました。二連の砲座を一組とした砲台跡が三つ並んでいますがその一番西側になります。砲台群の前を進み東側の砲台跡を抜けて一旦階段を下り広場に出ます。
トイレ跡のある広場から長い急な石段を登り切ると右手が方位観測所とされる施設跡です。地下には掩蔽部が見られる複雑な構造となっています。左手の急な石段を上ったすぐ先の高みが鷹ノ巣山の山頂です。
○鷹ノ巣山12:42〜13:22包ヶ浦自然公園13:35〜桟橋11:12
「鷹ノ巣山194m」の新しいプレートが掛けられた山頂は木立に囲まれて展望は得られませんが、直下の東側が開けて江田島、能美島そして鷹ノ巣浦と絵の島、大奈佐美島(おおなさみじま)が望めます。
山頂部には砲台遺構として司令室とも観測所ともされる石造りの建造物があります。
下山ルートは軍用道路経由の包ヶ浦自然公園下山として出発します。往路の石段を下り広場に出ました。広場の一段下にはトイレや井戸跡などが見られます。
広場の東端には下山路となる軍用道路が伸びています。道路は未舗装で一部シダが繁茂した狭い個所があるものの、全体的には意外に広く鷹ノ巣山の西斜面を北に進んでいきます。
8分ほどで明るく開けた場所に出ると海軍省第七四号と刻まれた石柱が立っています。博奕尾根の稜線や包ヶ浦自然公園などを遠望しながら進むと石柱から7分で舗装車道に出ました。峠(標高110m台)でとくに案内表示は見られませんがコンクリート電柱があります。
舗装路を17分ほど下ると包ヶ浦自然公園内を走る車道に合流しました。鷹ノ巣山登山口への進入口となる広島営林署の「ゴミは絶対捨てないで下さい」のプレートのある地点です。
鹿の群れる公園内を抜けると包が浦バス停です。発車時刻に間があるため宮島桟橋に向かいました。
のどかな宮島の風景を楽しみながら20分ほど歩くと小さな赤い鳥居のある杉之浦神社(厳島神社の末社)です。さらに16分で長濱神社(厳島神社の境外摂末社)で道路を挟んだ海側に大鳥居のミニ版のような朱の鳥居が立っています。工事中の大鳥居の代わりに立ち寄る人もあるようです。
長濱神社のすぐ先が往路のうぐいす歩道、紅葉谷への進入口で、さらに1分で宮島桟橋に到着しました。包ヶ浦からは37分ほどでした。
広島里山紀行記