【概　要】
　烏帽子岩山（410m）は広島県呉市の西端に位置する里山で、山容は全体に花崗岩露岩が目立つ典型的な瀬戸内沿岸部の山です。特に烏帽子に似た尖塔状の烏帽子岩の存在感がすばらしくクロナメラ、ドンガメ岩などのユニークな名称の岩場とともにロッククライミングのゲレンデとしても利用されています。
　山頂からは江田島を眼の前にして呉港、広島湾やその先に広がる能美島、似島、宮島など瀬戸内海の島々の絶景が望めます。
　烏帽子岩山、上山（じょうやま）など山頂部を結ぶ尾根道は中国自然歩道の烏帽子岩山ルートとして整備され、市街地からのアクセスもよく北側と南側からの登山路を利用したハイキングが楽しめます。
　今回はJR天応駅から上山を経て烏帽子岩山に至り焼山団地側の鍋土峠に下るコースをとりました。

○JR天応駅9:35〜登山口10:05〜上山11:17
　JR天応駅から線路沿いの狭い道を呉方向に南進します。100m余りで左折して住宅地の小路を上り広島呉道路を目指します。広島呉道路のガードをくぐり左折すると右手からの道と合流します。この個所のカーブミラーに大きな「烏帽子岩山登山口」の案内板が付けられています。
　案内に従って住宅地（弥生町）の狭い道を進むとほどなく墓所前広場に出ました。ここで右手の直進すれば烏帽子岩、どんがめ岩の岩場を経て山頂に至りますが、今回は左手から尾根を登り上山を経て山頂に向かいました。
　広場対岸の墓所に架かる極楽橋(下流の橋)を渡り、続いて二つ目の橋を渡ると山道が始まります。登山口の案内はありませんが、ここを一応登山口としておきます。
　登り始めから早速雑木林の中の急登となりました。登り始めて20分ほどで右手に岩峰、烏帽子岩が見え、続いて左手にポートピア駅方面が開けて天狗城山や似島が望めました。
　足下は風化花崗岩の滑りやすい砂礫の急坂となり、岩場と云うほどではありませんが次々と岩も現れてきます。登り始めて50分余りで視界が開け呉湾から江田島方面の展望を楽しむことができました。相変わらず続く岩を縫っての道を登ると傾斜が緩み、左手にコンクリートの遺構がみられるとすぐ先が上山（じょうやま）の山頂です。
          
○上山11:19〜烏帽子岩山12:06
　上山山頂には「上山391m」のプレートが架けられていました。二等三角点が置かれていますが石柱があるだけで広場も展望も無く、登山路の一通過点の形でおおよそ山頂らしい雰囲気はありません。左手には中山を経て呉市焼山の野外センターへと続く中国自然歩道が穏やかに伸びています。
　上山から烏帽子岩山に向かうとすぐ標高差40m余りを降ることになります。中国自然歩道だけに木階段が整備されていますが急降下です。降りた鞍部からは烏帽子岩が目の先に見えています。
　鞍部を過ぎると再び登り返すことになりました。上山から10分ほどで「←烏帽子岩山山頂まで　0.35km」の標柱、続いて「山火事防止」の木柱が立つ展望小ピーク広場です。北の方向に絵下山、目の前に焼山団地、東方向に灰が峰がみえています。
  小ピーク広場から軽く下って登り返すと右手から烏帽子岩経由のコースが合流します。
　ここで右折し絶景を楽しむために展望地に寄り道します。分岐にはほとんど読み取れない「←烏帽子岩　急勾配」のプレートがあり、すぐ樹林の中の急な道を降ることになります。5分で左手が開けたので寄り道すると烏帽子岩、ドンガメ岩を眼下に眺めることができました。引き返しさらに5分ほど急降下すると前面が広く開けた展望岩に出ました。眼下に尖塔状の烏帽子岩などの奇岩が望まれ江田島、東能美島、西能美島、似島、天狗城山がなどが見えます。絶景を堪能した後は烏帽子岩に向かいます。

○烏帽子岩山12:58〜林道終点13:29   　　
　「烏帽子岩山410m」のプレートが架かった山頂には三角点はありません。低灌木に囲まれた広場で、石鎚神社の祠は既に倒壊しケルン状の石組みが残っているだけです。
　山頂からの展望は良くありませんが一段降った岩からは呉湾、倉橋島方向、江田島、能美島、似島などの島々そして広島市街方面の素晴らしい展望が得られます。
　下山は鳴滝、鍋土峠を目指します。自然石の急な階段を降ると落ち葉の穏やかな尾根道となりました。「←大打山」（焼山八景山の一山です）と「←佐伯権現山」のテープがあり、さらに5分ほどで「←鳴滝1.6KM・烏帽子岩山0.2KM→」の導標がありました。落葉した雑木林中の道は視界は有りませんが快適に歩を進めます。
　山頂から20分余りで茶臼山と鳴滝との分岐に到着しました。右折が茶臼山、左折が鳴滝で「←鳴滝1.0km、 鍋土峠2.5km・烏帽子岩山0.8km→」と「←茶臼山0.6km」の導標があります。左折し中国自然歩道を降ると1分ほどで狭い未舗装林道に出ました。林道は実に穏やかで進むにつれて道幅も広がっていきました。右手に湿潤地を見ながら7分ほど降ると湿地で、渡った先は車の転回場を想わす舗装林道の終点でした。

○林道終点13:31〜鍋土峠14:09〜野間園前バス停14:23
　舗装林道の終点には「中国自然歩道」と「山火事防止」の導標が立ち、樹幹には「佐伯権現山→」のプレートそしてオリエンテーリングのポイント標識もみられました。烏帽子岩山の案内は見当たりませんでしたが、一応この地点を登山口としておきます
　林道終点から1分先の分岐に「中国自然歩道」と「←鳴滝0.6KM・烏帽子岩山1.2KM→」の導標があり右手に進みます。林道終点から20分余り穏やかに下ると「鳴滝」の導標がありました。しかし右下に谷があるものの茂る木立のせいか滝は確認できませんでした。鳴滝から5分で「←鍋土峠1.1KM・鳴滝0.4KM→」の導標です。さらに5分ほどで左脇に中国自然歩道の「烏帽子岩山ルート」の案内図その右側高台に「←鳴滝0.7km」の導標が立っていました。
　案内図のすぐ下で県道278号焼山吉浦線に出ました。県道合流点の左が焼山、鍋土峠方向で「←鳴滝0.7KM、烏帽子岩山2.5KM・鍋土峠0.8KM→」、右手がJR吉浦駅で「JR吉浦駅3.7km→」の導標が立っています。
　合流点から焼山方面へ緩やかに登っていくと10分ほどで呉寿光霊園の入口で、ここに「中国自然歩道　鍋土峠」の導標がありました。鍋土峠から7、8分も歩くと右手に大庭山八畳岩が見えてきました。鍋土峠から13分ほどで県道31号線に合流しました。道路標識の熊野方向に進むとすぐ野間園前バス停に到着です。熊野営業所経由のバスでJR矢野駅に向かいます。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　広島里山紀行記