山 名 | 阿武山 権現山 |
標 高 | 586.4m 397.1m |
場 所 | 広島市安佐北区・安佐南区 |
登 頂 | 2022.10.12 |
アクセス | ○西広島駅8:36→8:39横川8:51→大町9:08 ○大町駅前バス停9:12→毘沙門台3丁目バス停9:23 ○JR七軒茶屋駅→JR横川駅→JR西広島駅 |
コース | ○10:12毘沙門台バス停→9:54本堂9:58→10:37権現山 ○10:42権現山→10:53登山口→12:00阿武山 ○12:54阿武山→13:41鳥越峠13:43→14:48JR七軒茶屋駅 |
メンバー | 美・山の会8名 |
過去記録 | H29.3.29 |
広島市安佐南区の阿武山(586m)と権現山(397.1m)はそれぞれ二等三角点、四等三角点が置かれています。中でも阿武山は三角形の尖峰の端正な山容が印象的です。
両山とも信仰の山で阿武山は山頂に水神を祀る貴船神社が安置され、権現山は中腹に毘沙門堂(広島八十八ケ所霊場十九番)が祀られています。
阿武山は東側に展望が開け正面にJR芸備線沿線に広がる深川の町並みと高陽団地、左手に木ノ宗山とその背後には白木山系、呉娑々宇山系の山々そして右手には牛田山や江田島など広島湾の島々が望めます。権現山はテレビ中継局や木立に邪魔されて北西方向に岳山、荒谷山、野登呂山やゴルフ場が見える程度です。
今回は毘沙門堂から西回り登山道で権現山に登り、阿武山を往復した後に鳥越峠ルートでJR七軒茶屋駅に下山するコースをとりました。
両山とも平成26年8月の広島豪雨土砂災害により甚大な災害を被りましたが、今回のコース中でも鳥越峠ルートでその痕跡がみられました。
○毘沙門本堂9:58〜権現山10:37
バス便は毘沙門天バス停が最寄りですが便数が少ないので、毘沙門台三丁目バス停
で下車しました。権現山山腹の赤い多宝塔を見ながら10分ほど団地内を歩くと毘沙門天バス停(向かい側は毘沙門駐車場)です。バス停フェンスの「まちめぐり散策ルート(毘沙門ルート)」の案内に従って進むと参道の入り口に出ました。
右手には西明寺八手観音のお堂が建ち、正面に「毘沙門天王」の扁額が掛かる石造り鳥居、その奥に朱塗りの仁王門が見えています。
仁王門
から恵比須像に見送られ「参道歩道→」に従ってスギ木立の中を進みます。途中「権現山憩の森」の案内板でルートを確認しておきました。毘沙門天本堂に寄るため長い石段を登って巨大な岩壁を背にした毘沙門天本堂に出ました。
建立が13世紀まで遡るという本堂は平成26年
8月の豪雨災害で損傷を受けましたが立派に再建され往時の風格を取り戻していました。
参拝した後、本堂の左手から「←多宝塔参道」表示のある絶壁に沿って石段をのぼります。脇には「虎穴」の案内もありますが? 4分ほど登ると展望が開け「里見の岩」に出ました。広島市街から広島湾の島々までが一望で右手には武田山が見えています。
すぐ上の赤い三層の多宝塔
に登るとさらに広い視界が得られます。広島市街を眼前に中央に牛田山から武田山、右手に荒谷山などそして中景には二ヶ城山、遠景の左手には安芸アルプスから絵下山が広がっています。
多宝塔の右手から山頂を目指し岩場もある急な階段道を登っていきます。緩むと多宝塔から4分ほどで小祠が祀られ「ミドリイ境」と書かれた大岩が現れました。よく手入れされた階段道を「←西廻り遊歩道、権現山頂まで200m・毘沙門天まで500m→」の導標を見て進むと大岩から13分ほどで展望地に出ました。眼下に蛇行する太田川や広島市街地そして二ヶ城山、松笠山、牛田山、宗箇山などが広がっています。
展望地から2分で「←東廻り遊歩道・西廻り遊歩道→」の道標があり東廻りが合流しました。合流点からすぐに権現山でした。
○権現山10:42〜阿武山12:00
権現山の山頂は四等三角点が置かれていますが、大半はテレビの中継施設に占拠されています。展望は中継施設や木立の影響で良くありません。北西方向に少し下ると岳山、荒谷山、野登呂山やゴルフ場などが見えました。
小休止の後、阿武山に向かいます。フェンスに掛けられた「○休憩所 ○トイレ ○阿武山 標高586.4m 距離1.8km」の案内を見て下ります。
直下はメンテナンス用舗装車道の終点です。「権現山憩の森」の案内図やトイレなどがあり、背後の憩の森として整備された高台には東屋もあります。
阿武山への登山口
は車道を6分ほど下り道が大きく右に曲がる所です。車止めの杭と「車両進入禁止」の看板が立っています。「入口阿武山」、「権現山−阿武山−太田川ハイキングコース」、「阿武山頂まで2100m 太田川まで5000m」の道標があり、すぐ先には「クマに注意」の案内も見られました。
遊歩道は幅広く一部には木階段も新設され格段に歩きやすくなりました。数回のアップダウンを穏やかに繰り返し15分余りで鳥越峠に着きました。
鳥越峠
には「権現山まで890m・阿武山まで1450m・七軒茶屋駅まで1800m」の導標が立っています。JR七軒茶屋駅に下る帰路に利用するとして通過します。
峠から登りとなりますが10分余りで西回り登山道・旧道・遊歩道の3コースの分岐点に着きました。「阿武山→」のプレートが掛かる右の遊歩道を登ります。左の道は「阿武山西回り登山道」のプレートが置かれていますがロープで止められていました。
階段を穏やかに5分ほど登ると手製ベンチやケルンのある展望所に出ました。男性が木階段の補修をされていましたが、この先も新設された階段を随所で見かけることになります。このような方のご苦労で登山路が維持されている訳で感謝の限りです。一方この山の特徴でもあった遊歩道に敷かれていたウッドチップはほぼ消滅状態となっていました。
豪雨災害時の崩落始点を見て進みベンチから20分ほどで梅林小学校ルートが合流しました。ただプレートの文字は判読困難で道も既に藪化しているようにみえました。高陽団地方面を木の間越しに眺めての道は階段が新設され、次第に斜度を増しつづら折りとなっていきます。ベンチから33分ほどで山頂部の貴船神社祠
に出ました。
○阿武山12:54〜砂防ダム14:20
貴船神社は石造りの祠で裏側には「阿生山586m」の案内板があり、併せて貴船神社(龍王社)の説明が書かれています。それによると16世紀に阿武山に住んでいた巨大な龍を八木城の武士が退治したのを龍神として祀ったとあり、今も雨乞いの神として崇敬されているとあります。
祠から休憩所の脇を進むと二等三角点の頂上です。山頂部は南北に長い台地状の広場となってベンチも整備されています。「阿武山 標高五八六・四m」の木柱が立ち「権現山−阿武山−太田川ハイキングコース」、「←権現山頂まで2340m・太田川まで2900m→」とあります。北側には太田川コースが下り、西側には「阿武山西回り下山道」のプレートが掛かっています。西回り下山道の入口は倒木などが整理されて、蛇行する太田川や螺山、i、寺山などが望めました。
東側は前回に比べて樹木が切り払われて大きく視界が開けていました。JR芸備線沿線に広がる深川の町並みと高陽団地、北は木ノ宗山とその背後には白木山系、呉娑々宇山系の山々そして南には牛田山や江田島など広島湾の島々が望める素晴らしい眺望です。
下山は鳥越峠まで引き返してJR七軒茶屋駅に下ることにします。登りでは苦労した道も淡々と下ると47分ほどで鳥越峠に到着しました。
下山口に「岡村山」と刻まれた大岩がありましたが意味するところは?
鳥越峠
からはこれまでの遊歩道と異なり急な山道となりました。落ち葉の下に隠れるゴロ石や浮石に注意して慎重に下ります。少ないテープを頼りに6分も下ると荒れた谷の右手を歩くようになりました。峠から20分ほどで対岸に渡ると石垣が現れました。石垣には峠方向に白ペンキで「←」の矢印が書かれています。
この地点から傾斜が緩みましたが状況が一変していました。広い耕作地跡は土砂災害の影響が顕著で、木がなぎ倒され無数の大岩が散在しています。鉄階段を下った谷底も大岩で埋め尽くされていました。谷を横切り鉄階段を登り対岸に渡ります。
鉄階段から5分で巨大な砂防ダム「鳥越川1号砂防堰堤」に出ました。左右の谷にもダムは造られています。ダムを下ると鳥越峠ルートの登山口
です。辛うじて判読できる「←ハイキングコース」、「←鳥越峠まで0.8km」の道標が立っていました。
出たところは緑井8丁目でした。ここから15分ほど歩くとJR七軒茶屋駅に到着しました。
広島里山紀行記