山    名   安芸小富士・下高山 
標  高  278.1m  203.1m 
場  所 広島市南区 
登  頂 2024.2.28 
アクセス 広電宇品港→フェリー 
コース ○10:05登山口→10:37尾根分岐→10:55安芸小富士
○11:04安芸小富士→12:25登山口→12:45尾根分岐→12:57下高山
○13:41下高山→13:57分岐→14:13登山口 
メンバー 美・山の会11名 
過去記録 2022.3.24  R1.12.4  H29.3.8 

 

 広島市南区の似島(にのしま)は宇品港の南方4kmに浮かぶ小島で、戦前は似島検疫所、戦後には跡地に似島学園などが置かれています。
 島内には似島峠を挟んで南北に対峙する2山があり、北側の山は海上から立ち上がる端正な山容から安芸小富士(278.1m)と呼ばれています。これに対して南側の山は小富士が古語で高山と呼ばれたことから下高山(203.1m)と云われとされています。それぞれには二等三角点と三等三角点が置かれています。
 中腹から山頂にかけては国有林で瀬戸内海国立公園特別地域と林野庁の風景林に指定されているため都市近郊にありながら自然環境が良く保全されています。
 両山とも展望に優れ安芸小富士は宇品島、金輪島、江田島が浮かぶ広島湾の背後に広島市街地が望め、下高山は東に絵下山、西に宮島弥山、南にクマン岳、北は極楽寺山などと360°のパノラマが広がります。
 登山コースは安芸小富士は東西南北から4コース、下高山は北と東からの2コースが利用できます。今回は似島学園登山口から安芸小富士に登り、引き返して似島峠に降って下高山に登り似島港に下山するコースでした。

○登山口10:05〜安芸小富士10:55                
 宇品港から似島汽船フェリーに乗船し、端正な山容の安芸小富士を眺めながら20分の船旅の後、学園前桟橋でいつものように慌ただしく下船しました。
 桟橋から右にとりレンガ造りの弾薬庫通用門跡前から似島学園(似島検疫所跡)のグランドに入りました。桟橋から左に進めば被爆時、臨時の救護所となった第二検疫所跡の少年自然の家に至ります。
 学園の講堂跡前の広場が登山口になります。コンクリート階段を登って右に「いのちの塔」を見上げると早速急な登りになりました。出だしは擬木の階段ですがすぐ深い溝状に掘れた道に変わります。登路は以前に増して侵食が増しているように感じました。10分も登れば下方に赤い屋根の学園校舎が見え、カキ筏の間に延びる白い航跡が美しく映えています。
 間もなくの砂礫で滑りやすい花崗岩の岩肌登りを終えると、登山口から20分ほどで国旗掲揚台に出ました。キラキラと輝く穏やかな海の先に能美島が見えています。
 掲揚台で一息ついた後は山頂をめざますが、この先は樹林で展望も無いごく在りきたりの道となります。8分ほどで尾根の分岐(「学園分かれ」)に到着しました。ここは下高山と小富士と分岐で「似島臨海少年自然の家・家下、似島港方面→」、「←似島学園方面」そして「似島臨海少年自然の家→」の案内があります。
 先ず右折して小富士に向かいます。分岐からは上空が開けた明るい登路となりました。マサ土の深い溝状と階段の道を進むと砂礫に覆われた滑りやすい露岩地に出ました。途中で一息つき振り返ると眼下に家下(やじた)集落と似島港そして下高山が見えていました。 この先もコースのハイライトと云える花崗岩の露岩帯が続きます。砂礫に覆われた滑りやすい露岩帯は避けて脇道が主路となっていました。露岩帯を越えすっかり緩やかになった尾根道を進むと、分岐から20余りで山頂に到着しました。

○安芸小富士11:04〜似島峠12:04
 山頂には二等三角点の標石と赤く塗られた航空保安施設や監視所跡と云われるコンクリート製遺構があり、「安芸小富士(標高278.1m)」のプレートも架かっていました。
 展望は南側は樹木で遮られるものの、北から東にかけて宇品島、金輪島、峠山、江田島の島々そして呉線沿線の山々が連なりその背後には広島市街地が広がる素晴らしい景観が楽しめます。
 到着した20人ほどの一団と入れ替わって下高山に向かって下山しました。
 5分ほどで花崗岩露岩帯の上部に着きましたが、これから向かう下高山の先に広がる多島美を改めて楽しめました。露岩を慎重に下って山頂から20分ほどで学園分かれ分岐まで降りました。
 分岐では左に似島学園ルートを分けて、「似島港方面→」の案内に従い右手に降ります。すぐ樹林に入り視界が閉ざされました。
 5分で次の分岐の「公園分かれ」に出ました。左手は「←展望台コース・小富士下山道」、「←似島臨海少年自然の家」、あるいは「臨海公園展望台→」、山頂方向が「←安芸小富士山頂」、「展望台コース・小富士下山道→」と多くの案内がありました。
 下高山の明確な案内はありませんが、いつものように右手に進みました。メンバーのIさんの探索により海少年自然の家コースでも先で下高山ルートに合流することが確認できました。右に進み小さなコブに出ると高射砲陣地跡と思われる窪地があり、一帯は大樹も見られ島嶼部の山とは思えない雰囲気です。
 落ち葉を敷き詰めた尾根を進むとミモザの大樹のが見られるようなりました。時期的に少し早いかなと思いましたが、幸いにも鮮やかな黄色の花を見ることができました。ただ多くの倒木に加えて幼木が見られました。ミモザ樹の更新が始まったのでしょうか。
 「公園分かれ」から10分余りは尾根通しの穏やかな道ですが、その先は補助ロープが欲しいほどの足下の悪い急な降りとなりました。竹林の急坂を降り「公園分かれ」から20分そこそこで「似島港分かれ」に出ました。右に似島港へ、左に少年自然の家の道が分岐し、「←広島市似島臨海少年自然の家」と「似島港(家下)→」の案内があります。ここにも下高山への案内は見当たりませんがここは直進します。その先ですぐ左手に少年自然の家への道が分岐し、オリエンテーリングの導標と現在地の案内図がありました。
  篠竹の道を抜けると視界が開け前方に能美島が見えています。僅かに残された畑地見て電波塔の脇を進み墓所を抜けると、分岐から15分余りで家下(やじた)と大黄(だいおう)を結ぶ似島峠の舗装路に出ました。
 
○似島峠12:04〜下高山12:57
 右手の家下、似島港方向に数十メートル下ると下高山尾根コース登山口がありますが、今回は左手の大黄方向に下りました。
 すぐのカーブに「似島小学校・中学校、原爆慰霊碑、下高山登山口→」、「←似島臨海少年自然の家・広島平和養老館・似島学園」、「似島桟橋→」の案内がありました。峠から2分ほどで舗装路が大きくカーブしますが、ここに「下高山(標高203m)→」の案内があります。
 この下高山入口の案内に従い右手のコンクリート道を登ります。穏やかに登る道を7分ほどで視界が大きく開け、ミカン畑の先に青い海が広がり絵下山や灰ヶ峰など本土側の山並みが望めました。穏やかに延びるトラバース道を進むと峠から20分ほどで下高山登山口です。左手からは中学校からの登山道が合流しています。
  下高山登山口には「←下高山登山道入口」と「似島臨海少年自然の家・家下港→」の案内がありました。この先は尾根に向けての急登が続きます。明るい登路ですが意外に厳しい登りで、ひたすら登ること20分ほどで尾根に出ました。
 尾根は分岐で「←下高山山頂」の他に、今回の下山路の尾根コース方向に「←家下・似島港方向」そして登って来た方向に「似島臨海少年自然の家、似島小・中学校方向→」の案内があります。
 分岐を左折し下高山に向かいますが、以前は右手に望めた似島港方面も樹木の生長で見えづらくなっています。しばらくは平坦な尾根道ですがすぐ急登になりました。数個のコブを越えると視界が開けて正面に下高山が姿を見せました。最後のコブからは山頂が目前です。降った尾根道には転落防止柵も張られ、眼下は大黄港や少年臨海少年自然の家、中学校そして峠島などが見える瀬戸内の島らしい景観です。直下の大岩の左を巻いて一登りすると山頂に到着しました。

○下高山13:41〜登山口14:13
 下高山の山頂は中央に三等三角点の標石があり、藤棚のような構造物とベンチが置かれています。眼下の大須瀬戸は船の往来も多く、今回も潜水艦が白波を立て呉方向に進んでいました。
 展望は優れ東側方向に絵下山、天狗城山、灰が峰など、休山、西側方向に宮島弥山、経小屋山、大野権現山など、南側方向にクマン岳、大須山、砲台山、野登呂山などそして北側方向には極楽寺山、窓ヶ山、鈴ヶ峰、大茶臼山などとパノラマが広がっています。
 下山は似島港に向かい往路をたどります。多少早歩きし15分余りで尾根コース分岐に到着しました。「←家下・似島港方向」に従って左手に進むとすぐ急な降りとなりました。急坂ですが以前にも増して道幅も広くなり大変歩き易くなっています。
 視界の無い樹林の道を分岐から13分ほどで電波塔の立つ丘に出ました。左に荒神社ルートへの道が分岐しますが工事中の看板が立っていました。今回は直進し正面に小富士を眺め、きれいに整備された丘を進みました。電波塔から3分でコンクリート階段があり降ると似島峠の舗装路に出ました。
 降り立った尾根コース登山口には読みづらくなった「下高山(尾根コース)→」の案内がありました。なお大黄(だいおう)方向に数十メートルの所が安芸小富士からの下山口です。
 登山口からは工事中の舗装路を下って家下の集落に入ります。軒を寄せ合う民家の間の細い路地を要所にある案内に従って進むと、10分ほどで似島胡神社前の似島港に到着しました。10分ほどの待ち時間で宇品港行きのフェリーに乗船できました。 
                              広島里山紀行記


 


  

   

   
  9:50 学園前桟橋で下船しました    10:05 似島学園の登山口から安芸小富士へ 

        





        
     深く溝状に掘れた道を   赤い屋根の学園校舎が見えてきました

  



   

        
  砂礫で滑りやすい花崗岩の岩肌を       10:25 国旗掲揚台に到着しました

  



      

        
  10:37 尾根の「学園分かれ」分岐に出て右折し       10:39 岩場に取り付きました  

      





      
      コースのハイライト、露岩帯を登り    10:53 最後の岩場登りが終わりました 


  

   

   
  10:55 安芸小富士の山頂に到着しました    二等三角点が置かれています

             
            北方向には広島市街地が望めます 

             
            東方向には宇品島、金輪島、峠山、江田島の島々そして呉線沿線の山々が 





   

      
  11:04 他グループと入れ替わって下高山へ      花崗岩露岩帯の上部に着きました 

   

   
  下高山の先に広がる多島美を眺めて     11:25 「学園分かれ」の分岐は右へ 

   

   
  11:30 「公園分かれ」分岐。左手も可です    ミモザの大樹も見られる尾根通しの道を 





   

      
  鮮やかな黄色の花、ミモザ      11:45 足下の悪い急な降りを 

   

   
  11:52 「似島港分かれ」の分岐は直進します   12:04 似島峠に降りました 

   

   
  12:06 下高山の案内に従って右折します    ミカン畑の先に青い海、そして本土の山並みが 





   

      
  12:25 下高山登山口を出発します          明るいけれども意外に厳しい登路を 





   

      
  12:45 「尾根コース」の分岐に出て左折します       シダが繁茂する急坂を     

      





   
     12:55 下高山が姿を見せました  瀬戸内ブルーに染まる海と島、瀬戸内らしい景観

   
 
  12:56 直下の大岩の左を巻き一登りすると山頂   


  

   

   
  12:57 三等三角点の山頂到着しました    北方向に安芸小富士が 

         
        ほぼ360°の眺望です。南側方向にはクマン岳、大須山、砲台山、野登呂山などが

                
   

   

   
  13:41 似島港に向かい下山です      13:57 「尾根コース」分岐で似島港方面へ 

   

   
  下山口から急な降りが続きます   14:10 荒神社ルートとの分岐に降りました 

   

   
  14:10 分岐からは電波塔の立つ丘を   14:13 似島峠の舗装路に出ました 

   

   
  登山口には「下高山(尾根コース)」の案内が    軒を寄せ合う細い路地を

   

   
  14:23 似島胡神社前の似島港に到着しました   宇品港行きのフェリーに乗船です 
   
   
   
   
   

 
 
 
 
           
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